『フリー・ガイ』普通の街をゲームの世界に変えた!『レディ・プレイヤー1』規模の製作費がなかったからこその挑戦
映画『フリー・ガイ』のショーン・レヴィ監督と美術のイーサン・トーマンがインタビューに応じ、撮影地となったボストンの街をどのようにしてゲームの世界に変えたのかを明かした。
ルール無用のオンラインアクションゲーム「フリー・シティ」のモブキャラとして、プレイヤーたちに強盗されてばかりの銀行で窓口係を務めるガイ(ライアン・レイノルズ)を主人公にした本作。ゲームの中の世界が舞台だが、実際には撮影は2019年の夏、ボストンの街で行われた。
レヴィ監督はその理由について「僕たちには、スタジオの中にビデオゲームの世界を作るお金も場所もなかった(笑)。もしくは完全にCGにするお金もね。『レディ・プレイヤー1』のような製作費はなかったから」とぶっちゃける。しかし「フリー・シティ」を「完全に人工的な感じではなく、身近だけど普通とはどこか違う感じの世界」にしたかったというレヴィ監督にとっては、結局はこのやり方がベストだったのかもしれない。
「だからイーサン(美術のイーサン・トーマン)にとっての大きな挑戦は、ボストン中を歩き回って、ボストンだとはわからない場所を見つけることだった。“都会の暮らし”という雰囲気はありつつも、美術部がそれをゲームの世界に修正できるような場所だ。それぞれがピンポイントの場所だったから、例えばカメラをちょっとずらしたら『ここはレッドソックスが野球をやっているところだ!』というのが丸わかり。魔法が完全に解けてしまうんだよ。だから僕たちは、どこをどう撮影するかということにとても頭を使わなければいけなかった」
さらに本作では「フリー・シティ」だけでなく、現実の世界も描かれる。イーサンは「だから僕たちは、一つの街に二つの世界を作らなければならなかった。ゲームの中の世界と、外の世界。それぞれ異なるルールが適用されているんだ。一方は濃いパステルカラーで、エキセントリックな形状をしていたりと表現主義的、でももう一方は本当にありふれた感じにする、とかね。ゲームの世界は遊び心だらけなんだ。例えば、新聞の見出しには『犯罪率がこの2時間で75%上昇』とか書いてあるよ(笑)」
レヴィ監督も「僕たちはユーモアの層を盛り込もうとしたんだ。3回観てほしい。2度目か3度目に観る時は、美術や背後にある層を観てほしいんだ。フレームの全ての層がジョークやイースターエッグだらけだから、すごく楽しいよ。こういうことは全ての映画で出来ることじゃない。だけど本質的に楽しい本作のような映画では、美術に関しても楽しいアプローチを取りたかったんだ」とアピールしていた。(編集部・市川遥)
映画『フリー・ガイ』は公開中