ユージン・スミスが見たジャズミュージシャンの伝説のセッション…ドキュメンタリー『ジャズ・ロフト』予告編
1950年代半ばから60年代にかけて、マンハッタンのとあるロフトで繰り広げられていた気鋭のジャズミュージシャンたちによるセッションを記録したドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』の予告編映像が公開された。
本作は、雑誌「ライフ」などで意欲的な作品を数多く発表、70年代には写真集「MINAMATA」によって世界に衝撃を与えた写真家ユージン・スミスが密かに記録していた録音テープや写真をもとに構成したドキュメンタリー映画。
1950年代半ばから住んでいたスミスのロフトでは連日連夜、さまざまなジャズミュージシャンがセッションを繰り広げており、そこにはセロニアス・モンクをはじめ、カーラ・ブレイ、ズート・シムズ、ホール・オーヴァトンといったミュージシャンたちが集まっていた。当時仕事や家庭の問題が山積みだったスミスは、純粋に音楽を楽しむために集まった彼らの演奏を逃すまいと部屋中に録音用の配線を張りめぐらせ、何千枚もの写真を撮影。そのむせ返るような熱気を余すところなく記録された。
映画では、単なる記録の域を超えてジャズミュージシャンたちの圧倒的な存在感が浮き彫りとなる。そして、ミュージシャンたちとの交流を通して、人生の岐路に立たされていた写真家が抱く新たな決意や、歴史的な報道写真の数々を生み出してきた暗室での孤独な作業やユーモアと気難しさをあわせ持つスミスの複雑なパーソナリティーも証言者によって明かされる。当時の熱気あふれる場所で起こる奇跡に立ち会っているかのような臨場感を存分に堪能できる。
予告編にもスミスの写真がふんだんに登場し、彼の創天才たるゆえんを垣間見えるものになっている。メインビジュアルは、スミスが撮影した、ピアノを弾くセロニアス・モンクの写真を使用したクールな仕上がりとなっている。(編集部・大内啓輔)
ドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』は10月15日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開