レベッカ・ファーガソン『レミニセンス』相反する魅力を秘めるファム・ファタルに!
ヒュー・ジャックマン主演の映画『レミニセンス』(9月17日公開)で物語の鍵を握るメイという謎の女性を演じたレベッカ・ファーガソン。フィルム・ノワールに登場するファム・ファタルにも似た複雑な役を演じたレベッカが役づくりや再共演となったヒューへの信頼感などを語った。
本作は、人間の記憶に潜入(レミニセンス)し、その記憶を360度再現することで事件を解決する記憶潜入エージェントのニック(ヒュー)の活躍を描くSFサスペンス。世界中が海に水没した近未来を舞台に、他者の記憶に潜入したエージェントが凶悪事件の鍵を握る女性の行方を追う姿を描く。
物語のカギを握るのは、ニックのもとに訪れる謎の女性のメイ。彼女は失くした物を見つけ出すため、ニックにレミニセンスを頼むことになるが、この二人の出会いから物語は大きく展開することになる。メイを演じたレベッカ・ファーガソンは「作中に登場するメイは他人から見た姿であり、見る人によって印象や人格が違う。そうしたメイというキャラクターの多面性に魅力を感じた」のだという。
「私は、観る人たちの目に『メイ』として映るということ。そういう部分が好きなの。私が演じる人物のとらえ方は人それぞれ違う。(そのような人物を演じることは)キャラクターが持つさまざまな面を表現できるチャンスだと考えていて、その過程は、そういったさまざまな面をすべて作り上げるためのパズルを組み立てているようなものだった。『ここでこれをやったらどうだろう? でもそれをするとこっちでこれができなくなる』という風に。それもまた、正解の無い微妙なパズルを配置していくようなものだった」
このメイについてリサ・ジョイ監督は「フィルム・ノワールにはかならずと言っていいほどファム・ファタルが登場しますが、ファム・ファタルは暗い過去を背負い、人を翻弄し、人に翻弄され、欺瞞と秘密に満ちている。そんな女性像をこの作品に登場させたいと思いました。一人の女性のなかに品行方正な淑女と妖艶な魔性の女が同居している。ふたつのタイプは極端に違うので交わることはないと思われがちですが、それは大きな間違い。清純と妖艶、知性と魔性は両立します。ニック・バニスターは事件の謎に迫りながら、メイの意外な一面を知ることになります」と語る。
レベッカが現代的なファム・ファタルを演じるにあたっては、2017年の『グレイテスト・ショーマン』での共演も経験したヒューの存在は欠かせなかった。レベッカはヒューとの再共演について、「ヒューとはすぐに打ち解けられたし、友情や信頼が自然と芽生えた。彼との共演にはなんの不安もない。私たち、以心伝心の仲だから。撮影現場では、信頼できる共演者を相手に思いどおりの演技ができたから、すごく解放感があった」と関係性を明かす。
「私としてはメイが本性を現わす瞬間や心の闇をのぞかせる場面で自分なりに工夫したかった。その思いを遠慮なくぶつけられるのはヒュー以外にいない。ヒューとの共演は安心感が違う。彼はもともと器が大きくて、優しくて、楽しい人。『まだ内緒だけど、こういうアイデアを試したい』と言えば、『やってごらん』と受け入れてくれる。私とヒューは、公園の砂場で遊ぶ兄妹みたいなものでしょうか」
本作の監督・製作を務めたのは、ドラマ「ウエストワールド」で脚本・製作総指揮で知られるリサ・ジョイ。製作としてリサの夫にしてクリストファー・ノーランの弟で、これまで『ダークナイト』『インターステラー』などで共同脚本を担当したジョナサン・ノーランが参加している。(編集部・大内啓輔)