大倉孝二「青天を衝け」であーる!連発の裏側 吉沢亮との舌戦は「必死!」
現在放送中の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)では、明治時代に突入。吉沢亮演じる主人公・渋沢栄一を取り巻くクセモノぞろいの面々のなかで、強烈な存在感を見せたのが、太政官(だいじょうかん)・参議を務める大隈重信だ。特に第28回「篤太夫と八百万(やおよろず)の神」で、新政府への出仕を拒む栄一を必死に説得する大隈の「●●であーる」の熱弁は大きな反響を呼んだ。そんな大隈を演じる俳優の大倉孝二が、型破りな大隈像をどのように捉えたのかを語った。
大隈の大雑把な碁の打ち方に親近感
佐賀藩の士族だった大隈重信。明治新政府では外交能力を買われ重用されると、大蔵省の実力者として活躍。のちに第8代内閣総理大臣に就任する実力者だ。大倉は出演オファーを受けたとき「実在の人物を演じさせていただくとき、それなりに史実のイメージから逸脱してはいけないと思うんです。大隈さんも歴史で多くを成し遂げた人物。わたしなんかで務まるのか……という思いが強かったです」と率直な胸の内を明かす。
初めは大隈について「総理大臣になった人」「早稲田大学を作った人」といった程度の知識しかなかったという大倉だが、史実を調べるなかで「天真爛漫」「民衆に愛された」というワードが浮かび上がってきて、ややホッとしたとも。「あまり立派過ぎたら、自分でやれるのか……と思ってしまうのですが、少し砕けた感じもある方だったんだと分かってからは『もしかしたら自分でもいけるかも』という可能性が出てきたんです」と笑う。
大隈の人となりをイメージできたエピソードとして大倉が挙げたのが、伊藤博文と大隈が囲碁を打ったときの記述だった。「何かの文献で、二人の打ち方が対照的だったと知りました。大隈は大雑把で、伊藤はじっくりと打つ。大隈はピンチになると慌てて対処するタイプなんだなと思ったら、すごく親近感が湧きました」
監督から「際立たせて」と言われた「であーる」
「親しみやすさ」というキーワード。確かに大隈が登場するシーンは、何とも言えないおかしみがある。特に会話の最後に「●●であーる」という特徴的な語尾を連発するシーンは、SNS上でも大きな反響を呼んだ。
「大隈の口癖であったことは知っていたのですが、どこまでやるかは現場次第だなと思っていました。実際撮影に入ると、監督から『際立たせて欲しい』という話があったので、探りながらも思い切りやらせていただきました(笑)」
特に第28回「篤太夫と八百万の神」で、吉沢演じる渋沢が新政府の出仕を断りに来た際、大隈が熱弁をふるって説得するシーンの二人のやりとりに見入った視聴者は多かった。大隈はその舞台裏を「あのシーンはカットを割らず長回しで撮っていたんです。ものすごい緊張感があって、そんな僕の必死さがそのまま出ていたシーンになっているのかもしれません」と解説。声が裏返りそうになった場面もおかしく映ったが「やっている方は必死で全然楽しくなかったです……!」と苦笑していた。
完璧だった佐賀弁
オンエア後、大隈の佐賀弁も話題になった。大きな反響に「想定外でした」と照れ笑いを浮かべると「佐賀出身の先生が台本を佐賀弁で読んだ音声をくださったんです。それを聞いて発声して、ただひたすら練習していました」と苦労を伺わせる。
さらに大隈の妻・綾子を演じている朝倉あきの両親が佐賀出身だと言うと「『現場で大倉さんのセリフを聞いていると、懐かしくなる』と言ってもらえたんです」というエピソードを披露。史実でも大隈は綾子の手のひらで転がされていたという記述を見つけたという大倉は「同じような感じで安心感を持ってお芝居させてもらっています」と朝倉に感謝していた。
今後の展開について「渋沢を説得した回を楽しんでいただいた方に申し上げられることは、これからも恒例のように渋沢と大隈の言い合いは出てきます。そこはお約束のように楽しんでいただければ」と期待を煽る大倉。「大隈を演じていて、歴史の授業だけでは知らなかったようなことがたくさん出てきました。明治政府って結構刺激的な場所だったんだなということを感じると同時に、偉人と呼ばれている方も、意外と身近な存在だったんだなと感じていただければ」と視聴者に呼び掛けた。(取材・文:磯部正和)