田村淳、母親との心からのお別れはまだ
タレントの田村淳(ロンドンブーツ1号2号)が12日、スペースFS汐留で行われた映画『Our Friend/アワー・フレンド』公開直前トークイベントに出席。昨年、闘病を続けた母との別れを経験し、看取りや死生観についてつづった書籍「母ちゃんのフラフープ」が話題になった淳は、がんにまつわる家族のドラマを映し出した本作を鑑賞し「まだきちんと心からのお別れができていないんだな」と感じたことを明かしていた。イベント中盤には、本作で主演を務めたケイシー・アフレックがアメリカからリモートで参加した。
田村淳、感涙『Our Friend/アワー・フレンド』場面写真
「エスクァイア」誌に掲載されたマシュー・ティーグの実体験に基づくエッセーを映画化した本作。ある日、突然末期がんを宣告された舞台女優の妻・ニコル(ダコタ・ジョンソン)と、ジャーナリストの夫・マット(ケイシー)、そして彼らを支え続けた親友が織りなす愛と友情を描く。
映画について淳は「ものすごく感情を揺さぶられました」と発すると「娘や奥さん、友達たちと、どうつながって生きていくことが自分らしいのかということを考えさせられました」と感想を述べる。また、映画の随所で、母との思い出を想起させられたといい「僕は母ちゃんの死を乗り越えられていると思っていたのですが、劇中、母ちゃんのことを思いながら涙するシーンも多く、まだきちんと心からのお別れができていないんだなと感じました。映画を観ながら徐々に死別というものを、自分のなかでも消化していく作業ができたなと感じました」としみじみ語った。
またイベント中、本作に登場するニコルの親友デインについて、コンビ結成から28年となる相方・亮と近い存在なのかを問われた淳は「亮さんは仕事のパートナーでもあり、兄弟でもあり、親戚のおじさんでもある。僕にとって亮さんは大切な人であることは変わらないけれど、映画に出てくる、親友という存在とは違うと思います」と言及していた。
イベント中盤には本作で主演を務めたケイシーがアメリカからリモートで生出演。ともに父親でもある2人に「子供を育てるうえで大切にしていること」という質問が投げかけられると、淳は「娘にはできるだけ多くの選択肢を与えたい。もし興味がなくなったら、また別の道を与えればいい。一つの道を究めるより、いろいろなものに触れるきっかけを与えられれば」と返し、ケイシーも「素晴らしい考え方だ」と賛同する。
同じ質問にケイシーは「特にルールはないんだけれど」と笑顔を見せつつ「僕は子供たちの父親になれたことが、自分の人生のなかで最も豊かな経験でした。彼らをこの世に連れてきたのは僕なので、自分のことよりも彼らを優先させなければならないと思っています」と語っていた。
また本作について「逆境の乗り越える生き方に感じるものがありました。最近は喜びや幸せ、愛と同時に苦しみや悲しみも受け入れようと努力しているんです。その意味でこの作品には惹かれるものがありました」と出演した理由を明かしていたケイシー。日本が大好きだといい「本当なら、家族で来日したかった」と残念そうな表情を浮かべていた。(磯部正和)
映画『Our Friend/アワー・フレンド』は10月15日より全国公開