小野花梨、渋谷スクランブル交差点での撮影で衝撃体験「ゲリラだからこそできた芝居」
小野花梨が16日、東京・渋谷区のユーロスペースで行われた映画『プリテンダーズ』の初日舞台あいさつに来場、渋谷のスクランブル交差点でのゲリラ撮影を振り返って「信頼できる人がいるからできた」と誇らしげに語った。この日は共演者の見上愛、熊坂出監督も来場した。
小野花梨&見上愛&熊坂出監督が登壇!『プリテンダーズ』初日舞台あいさつ【写真】
本作は、同調圧力に支配された社会に反発する二人の女子高生が、SNSやアイデアを駆使して世界を変えようと試みるシスターフッドムービー。引きこもりのひねくれ者・花梨役を小野、花梨の唯一の理解者である親友の風子役を見上愛が演じた。連続ドラマ小説「カムカムエヴリバディ」への出演が予定されている小野の初主演作となる。
大勢の観客で埋まった客席を前に、小野は「いよいよ初主演映画が初日を迎えました。たくさんの方がここまで来てくださったかと思うと胸が熱くなります」と感激の表情。司会者からの「初主演おめでとうございます」という呼びかけに「みなさまのおかげです」と答えると、会場に大きな拍手が鳴り響いた。
コロナ禍の影響で撮影の中断を経て完成した本作。小野は「(コロナを意識して)台本はガラッと変わった状態で撮影が再開されたのですが、そのぶん会話をする時間や相談する時間が増えて、悪いことばかりではありませんでした」と前向きな様子。引きこもりの役ということで、自主的に体重を増やすなど意欲的に取り組んだというが、撮影が中断したことに心残りがあったという。「ふくよかな感じでいきたいと思っていたのですが、撮影が開いたことで、テレビの連ドラに出演することになったんです。別の仕事で太ったらヤバいと思って、体重を落としたんです。それからこの仕事をやったので、ちょっと輪郭が変わっているところがあるんです」と明かす。
また、本作には渋谷のスクランブル交差点で感情をぶつけ合うシーンがあり、そこでは交差点の真ん中で芝居をする二人を撮影スタッフが望遠レンズで捉えるという、いわばゲリラ撮影が行われたという。「守られた環境でお芝居するのが普通だと思っていたので衝撃的でした」と振り返った小野は「周りの人からもヤバいものを見るような目で見られるて、いきなり(芝居で)泣き始めたりしたので『気持ち悪い』『邪魔』とか言われて。私だって心の中では『やりたくない』『すみません』と思っていたんです」と正直な思いを吐露。
それでも演技を続けなければいけないなかで「その状況があの時の花田花梨にリンクしているような気がしたんです。すごく苦しかったし、一生やりたくないけど、でもゲリラだからこそできた芝居だと思います」としみじみ。続けて、小野は「二度とやりたくないといったんですけど……人間ですから、信頼関係がすべてだと思うんです。この人のためなら血を流してもいいと思えるような監督やスタッフさん、そういう方たちがいる環境で血を流すというのは、役者として理想だと思います。今後もやるなら、そういうチームでと思います」と誇らしげに語った。(取材・文:壬生智裕)
映画『プリテンダーズ』は全国公開中