加賀まりこ主演『梅切らぬバカ』シニア層を中心にヒット!メイン館では久々に長蛇の列も
加賀まりこと塚地武雅(ドランクドラゴン)が親子役で共演する映画『梅切らぬバカ』が11月12日に劇場公開され、シニア層を中心にヒットを見せている。
本作は、自閉症の息子と二人きりで生きてきた占い師の山田珠子(加賀)が、息子の忠男(塚地)自立を模索する姿を描く人間ドラマ。54年ぶりに主演を務める加賀が、軽口を叩きながらも小柄な身体で大きな息子の世話をする姿をチャーミングに表現。やがて訪れる「息子が一人で生きる未来」を案ずる横顔が、より一層切なく観る者の胸に迫る。地域コミュニティーとの不和や偏見といった問題を取り入れながらも、揺るぎない親子の絆と他者との触れ合いが描かれている。
11月12日に劇場公開された本作。公開初日は平日にもかかわらず、メイン館のシネスイッチ銀座前では初回に約200名が劇場前に列を作り、入場を待つ長蛇の列ができるほどの盛況ぶりを見せた。足を運んだのは40代以降の高い年齢層が中心となっており、劇場主も久々の光景と驚くほど。緊急事態宣言の解除によってシニア層の客足が劇場に戻ってきたようだ。大阪のシネ・リーブル梅田でも週末動員数1位を記録しており、44館でスタートした上映館数も徐々に増え、現在は105館で上映されることが決定(11月18日時点)。今後もさらなる全国的な広がりが期待される。
今回、ヒットを記念して本編映像が公開された。忠男の50歳の誕生日を親子二人でお祝いするシーンが切り取られている。珠子がバースデーソングを最後まで歌いきる前に、忠男が身を乗り出してロウソクを吹き消してしまい、思わず「最後まで歌わせろよぉ……」とこぼす珠子。ささやかな日々を丁寧に描く本作でも印象的なクスッと笑える一場面となっている。
忠男を演じた塚地も11月25日に同じく50歳の誕生日を迎える。2006年公開の『間宮兄弟』で日本アカデミー賞新人賞を受賞し、最近では連続テレビ小説「おちょやん」などの演技も話題を呼んだ塚地だが、先日のイベントでは「一日一日の積み重ねが人生。人生には苦労もたくさんあるけれど、幸せもたくさんあるんだと教えてくれる映画だと思います。山田家の親子を温かく見守っていただけたら」と本作への思いを語っていた。
本作にはほかに渡辺いっけい、森口瑤子、斎藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子などが出演。監督を『禁忌』などの和島香太郎が務めた。(編集部・大内啓輔)