最優秀男優賞受賞の菅田将暉、プライベートに祝福も コロナ禍の1年を吐露
俳優の菅田将暉が第13回TAMA映画賞・最優秀男優賞を受賞し、21日に府中の森芸術劇場どりーむホールで行われた授賞式に出席。11月15日に自身のTwitterで女優の小松菜奈との結婚を発表したばかりの菅田は、司会者から結婚について触れられると、照れ笑いを浮かべながら「ありがとうございます」と頭を下げていた。
『花束みたいな恋をした』『キャラクター』『キネマの神様』『浅田家!』での演技が評価され同賞を受賞した菅田。受賞理由について「時代・地域・作風の異なる幅広いジャンルの作品に出演し、日常も虚構も自在に着こなして魅せる個性派、唯一無二の輝きを放っていた」と評されると、スピーチでは「『キネマの神様』で山田洋次監督のもと、映画監督の役を演じ、映画へのリスペクトを改めて感じたので、この賞を受賞できて嬉しいです」と笑顔。
続けて菅田は「コロナ禍になり、悲しいこともたくさんありました」と神妙な面持ちになると「僕自身も外に出られなくなり、できることを探すなか、映画や音楽に助けられ、また自分も作品に参加できるようになったのですが、いざ完成しても公開延期になったり、公開できても半分しか観客を入れられなかったり……。『花束みたいな恋をした』も緊急事態宣言中での公開だったため、『映画館に観に来てください』と言えませんでした」と苦しかった日々を振り返る。
そんななか菅田は「心底自分の仕事に向き合ってきた最後に、こんな場に立てたことが幸せです」としみじみ語り、作品によってまったく違う役柄を演じることに「悩むことは多く、想像力をいっぱい使って疲れるのですが、この悩みや疲労は、幸せな時間です」と充実した表情を浮かべていた。
『花束みたいな恋をした』は、菅田が脚本家の坂元裕二に直訴して企画がスタートしたという。菅田は「ある授賞式でご一緒したとき、舞台袖で坂元さんに『ラブストーリーをやりたいので書いてください』とお願いしたんです。その後、また舞台を観に行ったときの食事会で『書いてくださいね』と念押しさせていただいて」とエピソードを披露。司会者から「軽いノリじゃなかったんですね!」と突っ込まれると、菅田は「本気ですよ。坂元さんは、“あるあるの達人”。(麦役は)共感を超えて『俺だな』って思っちゃうんです」と心酔していることを明かしていた。
コロナ禍に見舞われながらも俳優として切磋琢磨した2021年。菅田は「現場が続く限り、これからも撮影に挑みたい」と力強く述べると「僕の仕事は一人ではできないので、皆さまの力を借りて、ワンカットワンカットしっかり向き合っていきたいです」と抱負を語っていた。
TAMA映画賞は、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が、明日への元気を与えてくれる・夢を見せてくれる活力溢れる「いきのいい」作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰するイベント。受賞作品、受賞者は以下の通り。(磯部正和)
【最優秀作品賞】
『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督、及びスタッフ・キャスト一同)
『あのこは貴族』(岨手由貴子監督、及びスタッフ・キャスト一同)
【特別賞】
土井裕泰監督・坂元裕二氏、及びスタッフ・キャスト一同(『花束みたいな恋をした』)
横浜聡子監督、及びスタッフ・キャスト一同(『いとみち』)
【最優秀男優賞】
役所広司(『すばらしき世界』『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』『竜とそばかすの姫』)
菅田将暉(『花束みたいな恋をした』『キャラクター』『キネマの神様』『浅田家!』
【最優秀女優賞】
尾野真千子(『茜色に焼かれる』『明日の食卓』『ヤクザと家族 The Family』『心の傷を癒すということ《劇場版》』)
有村架純(『花束みたいな恋をした』『映画 太陽の子』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』ほか)
【最優秀新進監督賞】
藤元明緒監督(『海辺の彼女たち』)
松本壮史監督(『サマーフィルムにのって』『青葉家のテーブル』)
【最優秀新進男優賞】
藤原季節(『のさりの島』『佐々木、イン、マイマイン』『空白』『くれなずめ』『明日の食卓』)
金子大地(『サマーフィルムにのって』『猿楽町で会いましょう』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』ほか)
【最優秀新進女優賞】
三浦透子(『ドライブ・マイ・カー』『椿の庭』『おらおらでひとりいぐも』『アイヌモシリ』)
伊藤万理華(『サマーフィルムにのって』『息をするように』)