ディズニー新作『ミラベルと魔法だらけの家』壁のひびは日本人が担当!怖さを求めて試行錯誤
ディズニー・アニメーション・スタジオ最新作『ミラベルと魔法だらけの家』(全国公開中)に参加した日本人アニメーターの堀グレイスさんがリモートインタビューに応じ、本作で主に担当したひびの制作を振り返った。
魔法がいっぱい!ディズニー新作『ミラベルと魔法だらけの家』予告編
南米コロンビアの奥地を舞台に、魔法の力が宿った不思議な家に暮らすマドリガル家の姿を描く本作。キャラクター以外の動くもの全てを扱うエフェクト・アニメーターとして働く堀さんは、主人公ミラベルの姉・イサベラが魔法で繰り出す花や、マドリガル家が暮らす家の壁に入るひびのエフェクトを担当した。
イサベラがわずか数秒で繰り出す無数の花びらは、エフェクト・アニメーターをはじめ、複数の部署が連携をして制作された。「他部署や他の方が作った土台をもとに、エフェクト・アニメーションのチームがちょっと動かしたりするものもあれば、花びらと花で工程が全然違ったりすることもあります。その工程を一言でお伝えするのは難しいかもしれませんが、色々なチームが一緒になって作業しているというのは伝わると思います」。
堀さん曰く、本作で最も時間を費やしたのは「家の壁に入るひび」だったという。自宅周辺を散策し、ひびの写真を撮るところから始めたそうで、「ただリアルなひびを描くのではなくて、ひびの怖さを伝えたかったんです。実写的にしてしまうとあまり怖さが伝わってこないので、リアルな部分は残しつつ、どんなタイミングで、どんな形で割れていったら怖く見えるかということを試行錯誤していきました」とこだわり抜いたポイントを明かす。
「ひびが入るタイミングも、ただパキパキパキではなく、時間をずらしてみると、徐々に迫ってくる感じになったりします。また、ひびの形も少し蜘蛛の巣状に広げてみたり、一つ一つ自由にコントロールできる状況だったので、そういったことを考えながら制作しました。ひびを観た人がどんな感情になるのかを考えながら制作することは、ディズニー・アニメーションならではだと思っていて、すごく印象に残っています」と振り返った堀さん。木や石といった素材に応じて割れ方を変えているそうで、「そういったところに注目して観て頂けると、エフェクターとして嬉しいです」とアピールしていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)