『マトリックス』ジョナサン・グロフ、新スミス役のトレーニングは「狂気の沙汰だった」
映画『マトリックス』シリーズ新章『マトリックス レザレクションズ』で、新たにスミス役を務めたジョナサン・グロフが、撮影現場で主人公ネオ役のキアヌ・リーヴスから受けた影響や、極限まで自らを追い込んだハードトレーニングについて語った。
『マトリックス』3部作でヒューゴ・ウィーヴィングが演じた「エージェント・スミス」は、機械が作り出した仮想世界=マトリックスにとらわれた人類を監視するプログラム。感情のない冷酷なAIだったが、ネオに破壊されたことから自我に目覚め、増殖を繰り返してマトリックスの根幹を揺るがす存在となった。
ジョナサンが本作で演じる「スミス」は、トレードマークの黒スーツではなく、ノーネクタイで粋なスーツを着こなし、常に余裕の笑みを浮かべるビジネスマンタイプの男性。あまりにも変貌を遂げた彼について、ジョナサンは「スミスについては、トーマス・アンダーソン(=ネオ)さんのビジネスパートナーという事以外は言えません。それ以上は映画で確かめて」と笑みを浮かべる。
もちろん『マトリックス』への出演とあって過酷なトレーニングに挑戦。これまでにないほど、肉体を鍛え上げたという。「『ジョン・ウィック』でキアヌと組んでいる(アクション集団)87イレブンのチームと訓練することができました。自分の場合はまず、トーレナーが付きっきりで、3か月かけてウエイトトレーニング。そして去年の1月から、戦闘トレーニングを毎日。コロナ禍で休まなくてはいけなくなったけど、自分史上、最高の肉体を手に入れました。トレーニング中毒になるあまり、87イレブンのトップから、サヴェージ(どう猛なヤツ)ってジョークで呼ばれたくらい(笑)。ベルリンの撮影では、宿泊先から撮影場所まで、13マイル(約20キロ)くらいの距離を自転車で往復していた。狂気の沙汰でした」
予告編にはジョナサンとキアヌのファイトシーンも映し出されており、激闘への期待が高まるばかり。キアヌとの共演は、ジョナサンにとっても貴重な経験になったという。「キアヌはただ動きを覚えるだけじゃなく、戦いの美学といった点にもコミットしていて、演技にそれが表れているんです。現場では、トレーニングをはじめ、あらゆる面でみんなをリードしてくれました。十分に経験を積んでいて、以前にも演じた役なのに、彼はテイクの合間もセリフの練習を欠かさない。あれほど名声のある俳優が一生懸命になっているのを見ると、僕らも自然と頑張らなきゃってなるんです」
『アナと雪の女王』のクリストフ役や「Glee」への出演で知られるジョナサンにとって、『マトリックス』への出演は、夢であり驚きでもあったという。「自分が『マトリックス』の世界に入り込むなんて、夢にも思っていませんでした。(監督の)ラナ・ウォシャウスキーにはアーティストとしての魂があり、想像がつかないほど壮大なビジョンを持っていた。彼女のあまりに壮大な夢を聞くと、みんなが感化されてしまうんです。そんな作品の一部になれるのは本当に光栄なこと。きっとこの経験は人生が変わると思いました。精神的な意味でね。そして、実際にそうだったんです」(編集部・入倉功一)
映画『マトリックス レザレクションズ』は12月17日より全国公開