「カムカムエヴリバディ」深津絵里の魅力はじける!ミュージカル調の明るいスタートとなった理由とは?
第8週、38話の終わりで上白石萌音ふんする安子から、娘・るいを演じる深津絵里へとヒロインがバトンタッチされた連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。39話から本格的に深津がヒロインとして新たな物語が展開していくが、堀之内礼二郎チーフ・プロデューサーと、演出を担当した安達もじりが、朝ドラ初となるヒロインのバトンタッチを印象づける上で意識したことについて語った。
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連続テレビ小説第105作目の「カムカムエヴリバディ」は、昭和から令和に渡る時代をラジオ英語講座と共に歩んだ祖母・母・娘、3世代の親子の100年を描いた物語。衝撃的な38話の後の39話からは、安子から娘のるいへとヒロインが変わった。その冒頭では月日が流れて、るいが成長。雉真家から出て自立する場面が描かれ、物語の舞台も大阪へと移動した。そこでは、深津が大阪の街を踊りながら闊歩するミュージカル調の明るいトーンが印象的だった。
安達は「ミュージカル仕立てというのは、藤本有紀さんの脚本のト書きに書いてあったんです」と明かす。「これまでの展開がかなりしんどい内容だったこともあり、出演者も大きく変わるタイミングで、ガラリと明るくするのもいいのではという思いがありました。岡山ののどかな感じから、大阪の大都会を表現するには、エネルギッシュな感じで描くことがいいのではと思ったんです」と演出意図を述べる。
堀之内も「38話も衝撃的な内容でしたが、ガラリと雰囲気が変わってきた39話もすごいなと。ヒロインがバトンタッチしたということを印象づけ、明るく楽しい物語が始まるという期待感を持っていただければ」と期待を口にしていた。
また、るいを演じる深津について、堀之内は「真摯という言葉がぴったりの女優さん」と評すると「モノづくりにすべての神経を費やす向き合い方。楽しいことをいかに楽しく見せるか……そういう部分に真面目に取り組んでくださる方。素晴らしい役者さんだなと思いました」と称賛を惜しまない。
その39話では、るいが勇(村上虹郎)と河原でキャッチボールをするシーンも描かれた。物語上、るいは勇の姪っ子に当たり、年齢的にも勇がかなり上という設定だ。このシーンについて、実際は深津の方が村上よりも年齢が上のため、互いにしっかり二人の関係性が伝わるのだろうか……と不安に思う部分もあったというが、安達には確たる自信があった。「虹郎さんは20代ですが、これまでしっかりと物語上で勇ちゃんを演じてきてくれた。るいも小さいときから勇ちゃんを見てきた。深津さんがるいなんだということさえ腑に落ちてもらえれば大丈夫だと思いました」
堀之内も「年齢差が逆になりますが、それでも虹郎くんならできるという信頼のもとキャスティングしています。人間としての大きさを持っている俳優です」と絶大なる信頼があったという。
今後、るいはどのような人生を歩んでいくのか? るいについて、堀之内は「初めから大きな傷を背負ったヒロインというのは、これまでいなかったのでは」と触れると、安達は「大都会でいきなり羽ばたくよりは、クリーニング屋さんという小さな世界から、少しずつ扉を開いていく話にしたいと藤本さんがおっしゃっていました。少しずつるいの気持ちがほぐれていく繊細な感じと、大都会の喧騒が良いコントラストになれば」と今後への期待を込めた。(取材・文:磯部正和)