鬼才ポール・トーマス・アンダーソンが認めた2人の日本人女優、賞レース席巻の新作に出演
鬼才ポール・トーマス・アンダーソンが、監督・製作・脚本・撮影を手がけた最新作『リコリス・ピザ(原題) / Licorice Pizza』。冬の大作がひしめくクリスマスの週末に全米で拡大公開されると、ボックスオフィスランキングで7位に急浮上しており、アカデミー賞前哨戦となる映画賞レースでも好成績を挙げている。そんな本作には、アンダーソン監督が認めた二人の日本人、ミズイユミと安生めぐみが出演している。
【動画】2人の日本人女優が出演!『リコリス・ピザ(原題)』予告編(海外版)
監督が生まれ育ったロサンゼルスのサンフェルナンド・バレーを舞台にした本作は、年上女性に一目惚れした高校生が、社会に翻弄されながら大人の階段を駆け上がっていく青春群像劇。フィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマンと新星アラナ・ハイムが主演を務め、ブラッドリー・クーパー、ショーン・ペン、トム・ウェイツら実力派キャストが脇を固める。ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞で作品賞含む3部門、ニューヨーク映画批評家協会賞で脚本賞、ボストン・オンライン映画批評家協会賞で作品賞を受賞するなど本年度の賞レースを席巻中で、第79回ゴールデン・グローブ賞でも作品賞(コメディー/ミュージカル)など計4部門にノミネートされている。
そんな本作に登場する日本人役は、アンダーソン監督がオーディションで選考しており、厳しい審査を通過して起用されたのがミオコ役のミズイとキミコ役の安生だ。ミズイは、日本を題材にした大ヒットゲーム「Ghost of Tsushima」(ゴースト・オブ・ツシマ)や、ディズニー映画『ベイマックス』に声優として出演。海外ドラマ「HEROES/ヒーローズ」「ザ・ラストシップ」などでは日本語セリフや文化のコンサルタントも担当しており、幅広い活動を続けている。
安生は、女優として日本の舞台やテレビなどで活動した後に渡米。芸能エージェントと契約後も学業を続けながら、映画の名門校の短編映画などにも参加し、渡米10年目にしてアンダーソン監督作出演への切符を手にする。撮影直後には、ドラマ「グッドガールズ:崖っぷちの女たち」シーズン4にも出演するなど、映画・テレビで華々しいデビューを飾った。
アンダーソン監督の作品だと知らずにオーディションを受けたというミズイは、「まさか夢にも彼とお仕事できると思っていませんでしたし、作品に日本人を起用するということ自体驚きでした! 彼は日本が大好きなので、こだわりをもってキャラクターやシーンを描いています。是非一人でも多くの映画ファンの方に観てもらいたいです」と喜びと共に作品をアピール。安生は、「ポール監督は気さくで日本人の私にもとても丁寧に接してくれたので、思ったよりもリラックスして臨めました」と撮影を振り返り、「独自のパンチの効いた作風で、世界中の観客をも魅了してきたポール監督の作品に、日本人女優として出演できて本当に光栄ですし、私の長年の夢を叶えてくれた監督でもあるので、感謝してもしきれません」と笑顔で語った。二人のコメント全文は以下の通り。(編集部・倉本拓弥)
ミズイユミ(ミオコ役)
パンデミック真っ只中での撮影でしたが、クルー全員が色々な面で気を配って下さっていたので安心して撮影に挑めました。 一言でポールさんの事を語るのは難しいですが、私の話を真剣にしっかり目を見て聞いてくださる方でしたし、短時間で私の全てを知られてしまったような不思議な感覚を覚えています。心地よい現場でしたし、スムーズにシーンが撮れました。 クーパーくんは、誰もが一瞬で好きになってしまう子だと思います。
私の大好きな監督ポール・トーマス・アンダーソンの作品だと知らずにオーディションしたので、受かったと連絡が来た時は、パンデミック中だったので撮影があるということだけでも驚きました。ポールさんの作品だと知った時は飛び回って喜んで興奮が収まりませんでした! まさか夢にも彼とお仕事できると思っていませんでしたし、作品に日本人を起用するということ自体驚きでした! 彼は日本が大好きなので、こだわりをもってキャラクターやシーンを描いています。是非一人でも多くの映画ファンの方に観てもらいたいです。
安生めぐみ(キミコ役)
ポール監督は気さくで日本人の私にもとても丁寧に接してくれたので、思ったよりもリラックスして臨めました。出演は長いシーンではありませんが、意欲的にいろいろ試し、何度もテイクを重ねて時間をかけてくれました。アラナさんは、音楽の分野ではすでにスターでありながら、同級生のような親しみやすさで明るく飾らず、自然体に振る舞う姿がとても魅力的です。 現場には彼女のバンドHaimの姉妹が来ていて、仲良さそうにはしゃぐ姿も印象的でした。 私も音楽が大好きなので、アラナと共演できて本当に楽しく幸せでした。
独自のパンチの効いた作風で、世界中の観客をも魅了してきたポール監督の作品に、日本人女優として出演できて本当に光栄ですし、私の長年の夢を叶えてくれた監督でもあるので、感謝してもしきれません。彼の長年のパートナーであるマヤ・ルドルフさんの義理のお母様が70年代から米国でも活動してきた日本人ジャズ歌手の笠井紀美子さんで、役名の「キミコ」は彼女にちなんで名づけられています。マヤさんも日本語を話せますし、監督からも日本への理解と愛を感じます。日本での公開時は、楽しんで頂けましたら嬉しいです。