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岸井ゆきの、聴覚障害のプロボクサー役で主演『ケイコ 目を澄ませて』公開決定

映画『ケイコ 目を澄ませて』に出演する岸井ゆきのと三浦友和
映画『ケイコ 目を澄ませて』に出演する岸井ゆきのと三浦友和 - (C)2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINEMAS

 岸井ゆきのが、聴覚障害のあるプロボクサーを演じる新作映画『ケイコ 目を澄ませて』の全国公開が決定した。元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝「負けないで!」を基に、岸井演じる主人公・小河ケイコと、三浦友和演じる視力を失いつつあるトレーナーの交流が描かれる。

 岸井は、プロボクサー役に向けて、クランクインの約3か月前から厳しいトレーニングを敢行。並行して、劇中で使われる手話の練習にも勤しみ、入念な準備をもって撮影に臨んだ。メガホンを取ったのは『きみの鳥はうたえる』などの三宅唱監督。練習には三宅監督も参加したといい、岸井は「三宅監督も参加した三ヶ月のボクシング練習、手話練習もかけがえのない時間でした。ほんとうの意味で一緒に戦ってくれたこと感謝します」とコメントしている。

 三浦は、再開発が進む下町で小さなジムを運営するトレーナー・笹木克己を演じており、生まれつき耳が聞こえないケイコを指導しながら、次第に視力を失っていく難役に挑戦。作品の出来に「ケイコを抱きしめたくなるような、素直に心地よく余韻に浸れる作品」と太鼓判を押す。笹木の妻役で仙道敦子、ジムのトレーナー役で三浦誠己松浦慎一郎が出演。そのほか、佐藤緋美渡辺真起子中村優子中島ひろ子らが共演に名を連ねる。

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 すでに撮影は完了しており、今年公開予定。小笠原さんの自伝を原案に、酒井雅秋と脚本も手掛けた三宅監督は、刻一刻と変化するケイコの眼差し、彼女を案じる家族やジムの面々の心のざわめきを16mmフィルムに焼き付けた本作について「言葉以上のものがスクリーンを通して伝わることを確信しています」と語っている。キャスト・監督のコメント全文は以下の通り。(編集部・入倉功一)

岸井ゆきの(小河ケイコ役)

現場に入ればすでに照明はうつくしく、撮影中は16mmのフィルムがカラカラと回る音だけが辺りを満たしていました。
この世界をスタッフの皆さんがいち早く捉えてくださり、支えてくれたから、わたしはただケイコとして存在することができました。
この作品はケイコの日常であると同時に、今を生きること、自分の人生をどう生きるのかという問いなのかもしれません。
三宅監督も参加した三ヶ月のボクシング練習、手話練習もかけがえのない時間でした。ほんとうの意味で一緒に戦ってくれたこと感謝します。
ああ早く観てほしい。それだけです!

三浦友和(笹木克己役)

特別な仕掛けも予定調和の起承転結もない。でもあっという間の99分。
音のない日常を生きる主人公のケイコの気持ちを、観た人間それぞれが自由に解釈して欲しいと無責任に丸投げされることがない。
ケイコを抱きしめたくなるような、素直に心地よく余韻に浸れる作品だった。サンドバッグ、ミットを連打する音が強烈に耳に残る。
街の喧噪、人々の声。だがこの音はケイコには聞こえていないのだと気づく度に、目にしている画面の風景が違った色に変化する。
この作品には映画音楽がない。観客が耳を澄ませなければならない。

三宅唱監督

とても大切な映画ができました。ご自身の半生記「負けないで!」を書かれた小笠原恵子さんに深く敬意と感謝の意を表します。ありがとうございます。また、岸井ゆきのさんとともにこの映画に取り組めたことを心から誇りに思います。彼女の信じがたいほどの勇敢さがなければこの映画は生まれていません。タイトル通り、彼女はこの映画そのものです。そして、三浦友和さんはじめ全ての役者と全てのスタッフの、言葉では言い表せないほど澄んだまなざしもまた、この映画そのものです。全員の素晴らしい仕事にただただ魅了されました。書きたいことは山ほどあるのですが、なるべくまっさらな気持ちで皆さんに「発見」してほしいので、いったんこのあたりで我慢します。言葉以上のものがスクリーンを通して伝わることを確信しています。ケイコと多くの観客の皆様とが出会えますように。

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