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90歳の現役女優!『ウエスト・サイド・ストーリー』で再注目のリタ・モレノの現在

伝説的女優リタ・モレノ。
伝説的女優リタ・モレノ。 - Axelle / Bauer-Griffin / FilmMagic / Getty Images

 1961年の名作ミュージカル映画『ウエスト・サイド物語』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したリタ・モレノ。現在90歳にして現役女優の彼女が、スティーヴン・スピルバーグ監督が名作映画を新たに描いた『ウエスト・サイド・ストーリー』(2月11日公開)に出演し、再び注目を集めている。彼女の現在までを振り返ってみた。

【画像】『ウエスト・サイド物語』で踊るリタ・モレノ

 リタは『ウエスト・サイド物語』で彼女が演じたアニタと同じ、プエルトリコからの移民。1931年12月11日、プエルトリコのウマカオ生まれで、5歳の時に母と一緒にニューヨークに移住した。9歳でダンサーとして舞台に立ち、13歳でブロードウェイの舞台に出演し、ハリウッドのスカウトに注目されて映画界へ。1950年代から名作ミュージカル『雨に唄えば』(1952)や『王様と私』(1956)など数々の映画に出演している。この時期、プライベートではマーロン・ブランドと交際していた。

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 そして、注目を集めたのが『ウエスト・サイド物語』(1961)。この映画でプエルトリコ系ストリート・ギャングのリーダーの恋人アニタを演じ、アカデミー賞助演女優賞を受賞した。この授賞式で、リタのスピーチがとても短かったことは有名。自分が受賞するとはまったく思っていなかった彼女はスピーチの用意もなく、「信じられません! ああ、神さま! 失礼いたします」とだけ言って席に戻ったのだった。

 しかし、リタによればこの受賞は映画界でのキャリアには役に立たず、逆にステレオタイプのラテン系女性の役ばかりオファーされてしまうことになってしまったという。そこで、彼女はニューヨークに移り、テレビやブロードウェイの舞台に活躍の場を移す。

リタ・モレノ
オスカー像を手にしたリタとジョージ・チャキリス。Getty Images

 またこの頃、私生活でも変化があった。1965年に、心臓専門医レナード・ゴードンと結婚し、夫は彼女のマネージャーになる。1967年には娘が誕生。夫とは2010年に死別するまで結婚生活を続けたおしどり夫婦だった。

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 こうして、ニューヨークに移ったリタの活躍は目覚ましく、1970年代の受賞歴は驚異的。1971年から子供向け教育番組「ザ・エレクトリック・カンパニー(原題) / The Electric Company」に出演して、コメディー演技だけでなく歌や踊りを披露し、1972年にはこの番組の歌を収録したアルバムでグラミー賞を受賞。また、1975年にはブロードウェイの舞台「ザ・リッツ(原題) / The Ritz」でトニー賞を受賞。1977年にはテレビ番組「マペット・ショー」でエミー賞を受賞。エミー賞は、1978年のテレビドラマ「ロックフォードの事件メモ」でも受賞。その結果、エミー賞(E)、グラミー賞(G)、オスカー賞(O)、トニー賞(T)の4賞をすべて受賞した人物に与えられる称号“EGOT”に輝いた。この称号を持つ人物は、2020年時点で世界に16人しかいないことからも、リタの才能の偉大さがよくわかる。

 また、近年は、エンターテインメント業界の枠を超えた大きな表彰もある。2004年には、民間人に贈られるアメリカ最高位の勲章の一つ、大統領自由勲章を受章。2015年には、アメリカ文化に貢献した人々に贈られるケネディ・センター賞を授与されている。

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 もちろん、映画界への貢献は評価され、2014年には全米映画俳優組合賞の生涯功労賞を受賞。この授賞式のプレゼンターは、1970年代に教育番組「ザ・エレクトリック・カンパニー(原題) / The Electric Company」で共演したモーガン・フリーマン。2人で同番組のシーンを再現する場面もあった。そのお返しに、モーガンが2018年に同賞を受賞した時には、彼女がプレゼンターに。帽子を被って登場したモーガンが受賞スピーチを始めようとすると、まるで母親のように「モーガン、モーガン、帽子で顔が見えないわ」と声をかけたのも心温まる光景だった。

 その2018年には、リタはアカデミー賞授賞式でも注目の的になる。彼女は最優秀外国語映画賞のプレゼンターとして登場したが、この時、『ウエスト・サイド物語』でオスカー像を手にしたときと同じドレスを着ていたのだ。彼女は取材陣に「このドレスは、あの授賞式からずーっと、私のクローゼットにかかってた!」と語り、そのお茶目なコメントも話題になった。

 そんなリタが、今、再び注目を集めているのが、スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』への出演。彼女は出演だけでなく、本作のエグゼクティブ・プロデューサーとしても参加している。彼女が演じるのは『ウエスト・サイド物語』には登場しない、今回の映画オリジナルの役柄である、酒場の店主バレンティーナ。この人物がどのような人物なのかは、映画を観てのお楽しみだ。リタ自身はBroadway Directのインタビューで「私は自分の出ているシーンのすべてが好き。ただ(かつて自分が演じた)アニタと一緒のシーンは、かなりヘンな気持ちになったけど(笑)」と語っている。

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 すでにリタは本作の製作により、3月に開催される第33回全米製作者組合賞授賞式で、スタンリー・クレイマー賞を受賞することが決定済み。この賞は、社会問題にスポットを当てた作品に贈られる賞なので、移民問題を背景に持つこの映画に相応しい。

 また、スピルバーグ版でかつてリタがふんしたアニタを演じたアリアナ・デボーズは、多数の映画賞にノミネート。2月8日発表のアカデミー賞ノミネートも間違いないと見られている。3月27日開催の授賞式でリタと同じ役でのオスカー受賞となれば、リタも一緒に注目を集めることになりそうだ。(平沢薫)

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