長谷川博己、5年ぶり映画主演 綾瀬はるかと8年ぶり共演の『はい、泳げません』6月公開
俳優の長谷川博己が、ノンフィクション作家・高橋秀実の小説に基づく映画『はい、泳げません』(6月公開)で主演を務めることが4日、明らかになった。長谷川が演じるカナヅチの哲学者と、彼に水泳を教えるコーチの希望と再生を描くストーリーで、水泳のコーチに綾瀬はるかがふんする。長谷川が映画主演を務めるのは2016年公開の『シン・ゴジラ』以来、約5年ぶり。綾瀬とは、夫婦役で共演した大河ドラマ「八重の桜」(2013)以来、約8年ぶりの共演となる。監督・脚本を、映画『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した渡辺謙作が務める(高橋秀実の「高」は、はしごだかが正式表記)。
原作は、第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞しドラマ化もされた「「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー」や、第10回小林秀雄賞受賞の「ご先祖様はどちら様」などで知られる高橋秀実の同名著書。物語の舞台は現代。大学で哲学を教える小鳥遊雄司(たかなし・ゆうじ/長谷川)が、ある日訪れたプールの受付で水泳コーチ・薄原静香(うすはら・しずか/綾瀬)に強引に入会を勧められ、水泳教室に通うことになる。
2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀役も記憶に新しい長谷川が、水に顔をつけることもできないほどのカナヅチで、人間と水の関係についての頭でっかちな理屈をこねるカタブツな哲学者を演じる。水を怖がりジタバタと足掻くコミカルな姿から、過去の喪失と向き合い苦しみながらも必死に前を向こうとする精悍な横顔まで、幅広い表情を見せるという。
一方、綾瀬が演じる水泳のコーチは、泳ぎを教えることに情熱を傾ける一方で、泳ぎ以外は不器用な変わり者という設定。主演を務めた大河ドラマ「八重の桜」では戊辰戦争時に会津若松城に籠城し、「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた新島八重にふんし、長谷川は八重の最初の夫となる洋学者・川崎尚之助を演じていた。映画での共演は、これが初となる。
長谷川は、綾瀬との再共演に「大河ドラマの八重の桜から7~8年ぶりの共演でしたが、滞りなくお互い役柄として向き合えましたし、益々華やかさや大らかさが増して素晴らしい女優さんになられたな、と感じました。今回の静香コーチの役は彼女の持ち前の天使的とも言える存在感がマッチしていてとても印象的で作品に深みが増しました」とコメントしている。
製作プロダクションは、2021年の大ヒット恋愛映画『花束みたいな恋をした』のリトルモア。及川賢治と竹内繭子によるイラストレーターユニット・100%ORANGE(ヒャクパーセントオレンジ)がデザインを手掛けたイラスト版ティザーポスターも公開された。
長谷川、綾瀬、渡辺監督のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
映画『はい、泳げません』は6月、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
長谷川博己
●撮影を終えた感想
役柄としてもこの作品に向き合うことにしても身体と思考をフル回転させて臨まなければならないものでしたが、最終的にその疲れは心地のよいものでした。渡辺監督とは創作過程でぶつかることもありましたが、この作品を作るにあたって必要なことだったのかもしれません。「映画を作る」という行為は、様々な試練や衝突、そして自問自答を繰り返しながら作っていくものなのだと改めて実感した現場であり、それがどこかこの映画のテーマともつながって見えました。
●綾瀬はるかとの共演について
大河ドラマの八重の桜から7~8年ぶりの共演でしたが、滞りなくお互い役柄として向き合えましたし、益々華やかさや大らかさが増して素晴らしい女優さんになられたな、と感じました。今回の静香コーチの役は彼女の持ち前の天使的とも言える存在感がマッチしていてとても印象的で作品に深みが増しました。
●公開に向けたメッセージ
この映画は水の中に潜む『記憶』と『再生』の物語だと思います。生きることと泳ぐこと、似ているようで似ていないこの二つの行為を通して人生の辛さや楽しさ、全てをひっくるめて素晴らしいと実感できるような、得も言われぬ感動がある作品になると思います。ぜひご期待ください。
綾瀬はるか
●撮影を終えた感想
私は、ほぼプールでの撮影だったのでどうなることかと思ってましたが、終わる頃にはすっかり水の中が、水泳が大好きになっていました。
●長谷川博己との共演について
長谷川さんのカタブツな小鳥遊先生がとても愛おしく、ずっとお芝居を見ていたくなりました。
●公開に向けたメッセージ
できなかったことができるようになる。それで少し視界が広がったような、そんな出来事が皆様に訪れることを心から願ってます。そして、この映画をご覧頂いて、水泳でなくても、何かに挑戦してみようと思って頂けたら幸せです。
渡辺謙作監督
数年前、爆笑と共感にひたりながら、この原作を映画にするのは俺しかいない、と思いました。なぜなら私も泳げないから。主人公は小鳥遊雄司。泳げない哲学者。この字面だけでジャスト長谷川博己!小鳥遊はややこしい人間なのだが、長谷川さんもなかなかの……。それらもひっくるめて愛おしい! 主人公が持つ誠実さは私にはありません。間違いなく長谷川さんの天分です。小鳥遊に負けず劣らず風変わりなのがスイミングコーチの薄原静香。綾瀬はるかさんと初めて会ったとき、噂に違わぬ天然ぶりと端正なスタイルに、ここに静香コーチいるじゃん! 泳げない私にはよくわかる。泳げるようになりたい。その一歩を踏み出すのにどれだけの勇気がいるか。小鳥遊雄司に乾杯!