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朝ドラ・松重豊、厳しいチェックに恐怖感「京都人にならないと」

伴虚無蔵役の松重豊
伴虚無蔵役の松重豊 - (C) NHK

 放送中のNHK連続テレビ小説第105作「カムカムエヴリバディ」で、大部屋俳優・伴虚無蔵を演じている松重豊が、「ちゃんと誰が見ても京都人にならないといけない」と役に向き合う思いを明かした。

虚無蔵、ひなたに思いを託す【写真】

 朝ドラ史上初となる3人のヒロインで紡ぐ「カムカムエヴリバディ」(月~土、総合・午前8時~ほか、土曜は一週間の振り返り)は、昭和・平成・令和の時代に、ラジオ英語講座と共に歩んだ母から娘へとバトンをつなぐ、三世代100年のファミリーストーリー。初代ヒロイン・安子を上白石萌音、二代目ヒロイン・るいを深津絵里、三代目ヒロイン・ひなたを川栄李奈が演じる。「ちりとてちん」を手掛けた藤本有紀によるオリジナル作品で、主題歌はAIの「アルデバラン」。語りは城田優が担当している。

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 松重が演じる虚無蔵は、日本の時代劇を支えてきた大部屋俳優。殺陣は一流で、斬られ役として一目置かれている。ふだんから着流し姿で暮らし、時代劇言葉で話す変わり者。時代劇をこよなく愛するひなたにとって、やがて“師匠”のような存在になっていくという役柄だ。(清水一)

Q:「カムカムエヴリバディ」に出演することが決まったときの気持ち

このドラマのオファーを受けた時、思い出深い「ちりとてちん」と同じ藤本さんの脚本だということだったので、迷うことなく参加させていただくと決めました。この作品には、最初のほうは出ていなくて、劇中劇のあたりから台本をいただき読み始めました。「ちりとてちん」の時、藤本さんの本は伏線の張り巡らせ方など、そういうものが本当に読んでいておもしろくて仕方なくて、次の本が届くのが待ち遠しかったのを覚えていました。今回は、展開が非常に早いので、自分の役がこれからどうなるのか、どこに着地するかということなどが、まったく予想もつかないままで、期待と不安が入り混じった気持ちで台本を読み続けています。

Q:役柄の印象は?

撮影所の大部屋俳優の世界というのは、本当に特殊な世界なんですね。システムが非常に複雑で外から計り知れない一面もあったりするので、正直、僕にとっていい思い出だけではなく、清濁合わせ飲むような印象があります。虚無蔵は、時代劇の全盛期に一日に3つの現場を渡り歩くような時代を経験している人です。自分自身の力で、時代劇をどうしていけばいいのかはわからないと思うんですが、結髪さんの技術にせよ、美術さんのテクニックにせよ、せっかく培ってきた文化・伝統というものを失ってしまうのは間違いなく惜しいものだと思うので、それを何らかの形で次につなぐことができないものか。時代劇を愛してくれているひなたや文四郎という、この時代の若い子たちに、何かバトンを渡せるんじゃないかと思っている人なんだと思います。

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Q:共演者の印象は?

川栄さんの耳と感覚の良さには驚きました。川栄さんと僕は関西人じゃないので完全にアウェイなわけですが、役として京都人でなければならない。京ことば指導の先生がいらっしゃるのですが、ご存知のように京ことばや関西ことばは、非常に視聴者からのチェックが厳しいんですよね(笑)。ちょっと違うと「なんやあれ」と言われるという……非常に恐怖感がありまして。あの、昔の撮影所の恐怖心と相まってくるんですが(笑)。京都という文化に……ちゃんと誰が見ても京都人にならないといけないところを、アウェイな二人がやらなきゃいけないわけです。でも、川栄さんとのやり取りで「凄(すさ)まじくリズム感のいい俳優さんだな」と思いました。そういう言葉のリズム感、会話のテンポ、それが確実にお笑いの元になっていくと思うんですが、そこの勘のいい方っていうのは生まれつきであって、努力して身に付くものではないと思うんですが、そういうものを持っていらっしゃる人です。今後、どんな役をするにしても、その耳と感覚で、将来が楽しみな人だなということは一瞬で見抜きましたけどね!

Q:視聴者へのメッセージ

「ちりとてちん」という僕にとって思い出深い“朝ドラ”のころとは、放送時間も違いますし、視聴習慣もたぶん変わってきていると思います。特に、今回、三世代のヒロインということで、怒とうの展開になっていますよね。ただ、藤本さんの脚本は、大河のようにどれだけ長いドラマであったとしても、いろいろなところに伏線が張り巡らされていて、それを回収するだけでも見応えがあります。俳優も藤本さんの本に全幅の信頼を置いていますし、俳優がぜひやりたいと心を動かされる本だと思います。この先どうなるんだろうと思いつつも、一切、前情報をもらわずに台本が届くのを楽しみにしています。視聴者の方も、そんなわくわくした気持ちで最終回までおつきあいいただければと思います。

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