日本人歌手熱愛の真相も!?香港歌姫の生涯を描く『アニタ』日本初上映 大阪アジアン映画祭
1980年~1990年代に香港で絶大な人気を誇ったものの、2003年に亡くなった歌手・女優アニタ・ムイ(享年40歳)の生涯を描いた香港映画『アニタ』が第17回大阪アジアン映画祭(3月10日~20日)で日本初上映される。劇中には、親交のあった歌手・俳優の近藤真彦をモデルとしたと思われる日本の歌手とのエピソードも盛り込まれており、歌姫の知られざる一面は昨年11月に公開された香港で大きな話題となったが、日本でも注目を浴びそうだ。
アニタは、1982年に地元テレビ局主催のタレントコンテストで優勝したのをきっかけに18歳でデビュー。以来、香港を中心としたアジア圏で活躍し、1983年には日本でも日本語で歌った「唇をうばう前に」と「白い花嫁」をリリースしている。また女優としても花を開かせ、ジャッキー・チェン主演『酔拳2』(1994)やレスリー・チャン主演『ボクらはいつも恋してる! 金枝玉葉2』(1996)などに出演し、映画ファンにもおなじみの存在だった。
多彩な魅力でファンに愛されたアニタだったが、病により40歳の若さで帰らぬ人に。その短い人生の中で多大な影響を与えたとされるのが近藤の存在で、一時期熱愛関係にあったと言われている。1989年には近藤のヒット曲「夕焼けの歌」を広東語でカバー。その曲は、アニタが出演した映画『アゲイン/明日への誓い』(1990、ビデオ版タイトルは『アゲイン/男たちの挽歌III』)の主題歌に使用され、アニタが最後の最後まで大切に歌っていた曲だ。
『アニタ』では近藤をモデルにした役は後藤夕輝として登場。後藤役を、映画『偶然と想像』(2021)の中島歩が演じているほか、日本ロケも実施。『アゲイン/明日への誓い』は時任三郎も出演しているが、アニタを通して今よりもっと近い距離にあった香港と日本の芸能界の裏側や、香港映画界の華やかなりし時代を楽しめそうだ。
同様に同映画祭ではアジア映画の中で描かれる日本に着目して作品をセレクションしており、今年はオープニング作品に池松壮亮が出演した日本・中国・韓国合作映画『柳川』(チャン・リュル監督。今秋公開予定)、クロージング作品にデンマーク・ノルウェー・日本合作の『MISS OSAKA(原題)』(ダニエル・デンシック監督、年内公開予定)と2本の合作映画が映画祭を飾る。
また昨年より始まったオンライン座(オンライン上映)では過去に同映画祭で上映され、今こそ世界に知られるべきという10作品を21日まで配信。大阪・福島のABCホールなどを会場としたリアル開催とオンラインの2体制でWithコロナ時代の映画祭の可能性を切り拓いていく。(取材・文:中山治美)
第17回大阪アジアン映画祭は3月10日~20日、大阪・福島のABCホールなどで開催。オンライン座は3月3日~21日まで開催