「カムカム」るいが岡山に里帰り…キャスト一新も変わらぬ雉真家は「情念が詰まっている場所」
第20週も半ばに差し掛かった連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土、NHK総合・午前8時~ほか、土曜は1週間の振り返り)。16日に放送された第95回では、算太(濱田岳)の死によって、るい(深津絵里)は家族とともに生家である雉真家を訪問することに。「安子編」以来久々に登場した雉真家だが、まさにタイムスリップしたような佇まいに驚いた視聴者も多かったのではないだろうか。雉真家での撮影について、演出を担当した安達もじりが語った。
連続テレビ小説の第105作「カムカムエヴリバディ」は、昭和から令和にわたる時代をラジオ英語講座と共に歩んだ祖母・母・娘、3世代の親子の100年を描いた物語。「安子編」での雉真家は、主である雉真千吉(段田安則)をはじめ、妻の美都里(YOU)、次男の勇(村上虹郎)、そして安子(上白石萌音)と女中の雪衣(岡田結実)が主な顔ぶれだったが、るいが里帰りした際には登場人物が一新。勇役は目黒祐樹、雪衣役は多岐川裕美へとバトンタッチされた。
しかし、雉真家の玄関前に佇んだるいが「ここや」と言い、年を重ねた勇が「るいか」と声を掛けた瞬間から、一気に時計の針を戻したような感覚にとらわれる。居間に入ってからの雉真家は、まさに昭和にタイムスリップしたような独特の雰囲気が画面から伝わってきた。また、雪衣とるいの再会シーンもなんとも言えない緊張感が走り、こちらも一気に過去に引き戻されたような感覚に陥った。
安達は「久々に雉真家のセットを立てたとき、そこに出てくる人たちが、今まで雉真家に一歩たりとも足を踏み入れたことがない人たちばかり。撮影のときも『これテレビで観ていたよ』と言うぐらい、ガラリと登場人物が変わっています。でもあの雉真家の持つ怨念じゃないですが、情念みたいなものが怖くなるぐらいでした」と本作にとって特別な位置づけの場所であることを強調する。
また、勇役を引き継いだ目黒と、雪衣役の多岐川については「目黒さんも多岐川さんも『安子編』からずっと作品を観て下さっていたようです。それぞれの役柄について描かれていなかった時間の過ごし方なども、一緒に相談させていただき、ご提案もいただきました。気持ちの持っていき方を身体に落とし込んで演じてくださり、とても助かりました」と感謝を述べる。「あのお二人がいまも雉真家にいるということの大きさを含めて、あの場所が深まっていく感じがしました」と100年という時代を繋ぐ意味で、本作における「雉真家」というのは非常に印象深い場所になったようだ。(取材・文:磯部正和)