松坂桃李、樹木希林さんと数奇な縁 「ゾクっとしました」
俳優の松坂桃李が13日に都内で行われた映画『流浪の月』(5月13日公開)完成披露試写会に出席し、本作における樹木希林さんにまつわる不思議なめぐり合わせについて語った。試写会には広瀬すず、横浜流星、多部未華子、李相日監督も登壇した。
本作は、2020年に本屋大賞を受賞した凪良ゆうの小説を、映画『悪人』『怒り』などの李監督が映画化。10歳のとき誘拐事件の被害女児となった家内更紗(広瀬)と、事件の加害者とされた佐伯文(松坂)が、事件から15年後に思わぬ再会を果たすさまを追う。
文と更紗の関係は、誘拐事件の被害者、加害者という表面的なものでは計り知れない。そんな作品にちなんで、切っても切れない関係、宿命の関係について聞かれた松坂は「ちょっと宿命という言葉とは違うかもしれませんが」と前置きすると、松坂が単独初主演を務めた映画『ツナグ』(2012)で松坂演じる主人公の師匠で祖母であるアイコを演じた樹木さんの名前を挙げる。
松坂は「僕はまだ経験も浅くて、希林さんにお芝居のことはもちろん人としてなど、いろいろなことを教えていただいたんです」と懐かしそうに樹木さんとの共演を振り返り、「映画の番宣なども全部ついてきてくれて『あんた、しゃべる前に“あー”とか“えー”とか言わないの』とか『記者から同じ質問されても、同じ答えをしちゃダメよ』など、本当にたくさんアドバイスをいただいた」と、樹木さんが大きな存在だったことを明かす。
そこから10年の歳月が流れ、本作では松坂演じる文の母を樹木さんの娘である内田也哉子が演じるというめぐり合わせに遭遇した。松坂は「お母さん役を也哉子さんがやられると聞いてゾクっとしました。何とも言えない感情が巻き起こったんです」と数奇な縁を感じたというと「希林さんがこの映画を観たら何というのかな」と思いを馳せていた。
「僕は舞台あいさつなどに登壇する際、高揚感はあってもあまり緊張はしたことがないのですが」と緊張の面持ちの松坂。「でもこの作品はとても緊張しています。それはこの映画が皆さんにどう映るか、怖いんだと思うんです」と正直な胸の内を明かし、「でもしっかりと見ていただきたいという気持ちが強いので、皆さんなりの感想でいいので、伝えていただければ」と観客に訴えていた。(磯部正和)