中国で活躍の中西悠綺、両親に感謝の涙 「少しだけ恩返しができた」
女優、歌手の中西悠綺が、沖縄で4月16日、17日の2日間にわたって開催されている「島ぜんぶでおーきな祭 第14回沖縄国際映画祭」で特別招待作品として上映された主演映画『ワンダフル旅行社』の舞台挨拶に登壇。中国に留学中、心が折れそうになっていた時期に自身を支えた両親への感謝の気持ちを、涙ながらに語った。
中国製作の主演作が映画祭で初上映されたことについて、中西は「いつこの作品を見ていただけるのかと心待ちにしていました。この映画祭で上映することが叶ってとても嬉しいです」とあいさつ。「わたしはずっと中国で活動をしていたのですが、エンドロールを見ながら制作会社の一覧表を作って、母と二人三脚で売り込みしたりしていました。その積み重ねでここに来れていることがとても嬉しいです」とこれまでの道のりを振り返った。
中西は、日本でアイドルとして活躍したのちに二十歳のときに台湾へ。3か月間、朝から夜まで語学学校に通い中国語を習得し、香港でアクションを学ぶと、チャン・ツィイーら有名俳優を多く輩出した中国北京の名門国立演劇大学中央戯劇学院で2年間演技を学んだ。小さい頃に女優への夢を抱き、地元の三重県から名古屋の養成所に通っていたという中西は「13歳でデビューして今まで頑張ってきたので、陽のあたるところに早く行きたいという気持ちが強かったんです。当時は、中国圏で活躍している女優さんが少なくて、誰も成し遂げたことがないことに挑戦したかった」と振り返る。
「北京の大学にいたときは、自分の中で早く結果を出したくて焦ってばかりいて、真っ暗なトンネルの中を走っているような気持ちになっていたんです。そんなときに、この『ワンダフル旅行社』の主演が決まり、今までの努力が報われた気がしました」と話す中西は、日本での初上映が決定して最もうれしいのは両親に観てもらえることだという。
「留学中に何回も心が折れそうになったことがあったんですが、日本に一時帰国したときに母が手紙をくれたんです。そのときに、“つらくなったらいつでも戻ってきていいよ、有名になれなくてもママは悠綺を一番愛しているから”と書いてあって。その手紙をいつも持って、苦しいときに読み返しながら頑張ってきました。両親の支えがなかったら今のわたしはないので、この主演作を上映できたことで少しだけ恩返しができたなと思っています」と話し、涙で声を詰まらせた。
コロナ禍ということもあり、両親が三重県から映画祭に駆け付けることはかなわなかったものの、初めてのレッドカーペットを生中継で見守ってくれていたそう。「これからももっと頑張って両親を喜ばせたいです」と日中バイリンガル女優として、今後への意欲を見せた。(取材・文:森田真帆)