3年ぶりレッドカーペットに沸いた沖縄国際映画祭 長澤樹&窪塚愛流共演作の制作発表も
沖縄県で4月16日・17日の2日間にわたって行われた「島ぜんぶでおーきな祭 第14回沖縄国際映画祭」が17日、閉幕を迎えた。この日、国際通りでは約3年ぶりとなるレッドカーペットイベントが行われ、沖縄の文化、芸能、県内各地のお祭りと同映画祭を掛け合わせたエンタテインメントショーがフィナーレを飾った。
映画部門は「特別招待作品」「特別上映作品」「沖縄ヒストリカルムービー」「地域発信型映画」「クリエイターズ・ファクトリー受賞監督新作」「シアタードーナッツ・オキナワ連携企画」のプラグラムで24作品を上映。なかでも印象的だったのは、毎年、次世代を担う映像作家を発掘する目的で開催されている「クリエイターズ・ファクトリー」。今年は2018年度に同部門のグランプリを受賞した宮嶋風花監督の『親知らず』が16日に桜坂劇場で上映された際、宮嶋監督の新作『愛のゆくえ』(2023年公開)の制作発表も行われ、長澤樹、窪塚愛流、宮嶋監督が登壇した。
20代の若手監督、宮嶋監督の現場について、ヒロインを務める長澤樹は「ベテランのスタッフさんも、監督とわたしたちのことをいつも支えてくださっていて、温かくて全員が家族のような現場でした」と撮影を振り返った。また、本作でヒロインの幼なじみを演じた窪塚愛流は「僕は撮影初日にすごく緊張してしまうのですが、現場で年上の俳優さんやスタッフさんから声をかけてもらえるだけで気持ちが変わります。10年後、20年後、もし僕がまだ俳優を続けていられたら、僕もそういう存在でありたいと思いました」と話した。昨今は映画業界のパワハラ問題が話題になっているなか、若手監督をベテランスタッフが支え、全員が居心地のいい撮影現場を若手俳優が体験したことは、日本映画界の希望を感じさせた。
沖縄県が本土復帰50周年の節目となる今年は、大島渚監督が本土復帰直後に撮影を敢行した青春映画『夏の妹』(1972)や、沖縄の美しい景色を背景に、そこに巣食う麻薬組織に敢然と挑戦する麻薬Gメンたちを描く、千葉真一さん主演『麻薬売春Gメン 恐怖の肉地獄』(1972)など沖縄にまつわる作品も多く上映された。コロナ禍での開催はもちろんだが、今年はメジャー作品のみならず新人監督による作品も多く上映され、日本映画界の未来につながる光が見えた2日間となった。(取材・文:森田真帆)