800人から抜擢!『流浪の月』広瀬すずの幼少期を演じたのは?
『悪人』『怒り』などの李相日監督が、2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうの小説を映画化する『流浪の月』(5月13日公開)で、約800人の候補からオーディションで役を射止めた白鳥玉季(12)。本作で自身のキャリアに刻まれるであろう名演を披露した白鳥の新たな場面写真が公開された。
本作は、かつて誘拐事件の被害者と加害者として世間に名を知られることになった家内更紗(広瀬すず)と佐伯文(松坂桃李)が、15年後に思わぬ再会をして周囲に波紋を呼んでいく物語。白鳥は、事件当時10歳だった更紗の幼少期を演じている。とある事情から伯母の家での生活を余儀なくされた更紗はある日、雨の夕方の公園で同じく深い孤独を抱える大学生の文と出会い、心を通わせていく。
公開された新劇中カットは、10歳の更紗が19歳の文と過ごした日々を切り取ったもの。並んで一つの大きな容器からアイスクリームを食べる様子は、被害者と加害者というイメージからはかけ離れたものだ。
10歳の更紗を演じた白鳥玉季は、わずか1歳でデビューを果たし、今年で芸歴10年を誇る現在12歳(中学1年生)のベテラン。近年は「凪のお暇」(2019・TBS)や「テセウスの船」(2020・TBS)などのドラマで注目を浴び、映画では『永い言い訳』(2016)『すばらしき世界』(2021)などの西川美和監督作品や、山田孝之と親子役を演じた『ステップ』(2020)などに出演。今後、人気ドラマの劇場版『極主夫道 ザ・シネマ』の公開を6月に控えている。
大人びた感受性と子供らしい無邪気さが内面に共存する更紗役に白鳥を抜擢した李監督は、起用の理由について「オーディションでとあるシーンを演じてもらったんですが、玉季は終了後に僕のところに来て、泣く演技ができなかったから自分はダメですか? と問うてきた。その時の不安と意志が交じり合った眼差しが印象的で、瞳に力がありました。思い返すとその瞬間に決めていましたね」と、オーディション当時11歳だった白鳥の“瞳”が決め手となったと述懐。「ただ無邪気なだけでは駄目で、文と心が通い合っているという説得力がなければ更紗役は成立しないですから」とも語っている。
そして李監督に誘われこのオーディションに参加した松坂は、白鳥との共演を「10歳の更紗と文がアパートで一緒に生活するシーンから撮影がスタートしましたが、その時間が文にとってかけがえのない平和で自由な時間だった。玉季が演じた10歳の更紗と過ごした時間の幸せな記憶が拠り所として合ったからこそ、再会してからの文を演じることができました」と振り返った。(編集部・石井百合子)