吉岡里帆の笑顔を封印！『ハケンアニメ！』監督のこだわり＆起用理由とは？

　映画『ハケンアニメ！』（5月20日公開）で主演を務める吉岡里帆について、吉野耕平監督が撮影を通して感じた魅力と演出のこだわりを語り、高橋直也プロデューサーが起用理由を明かした。

吉岡里帆の真剣な表情！映画『ハケンアニメ！』撮影現場の様子＆場面カット

　原作は、辻村深月の同名人気小説。公務員出身の新人アニメーション監督・斎藤瞳（吉岡）が、最も成功したアニメの称号「覇権（ハケン）」を巡り、憧れのスター監督・王子千晴と熾烈な闘いを繰り広げるさまを描く。王子千晴役を中村倫也、瞳が監督するアニメ「サウンドバック　奏の石」のプロデューサー・行城理役を柄本佑、王子が監督する「運命戦線リデルライト」のプロデューサー・有科香屋子役を尾野真千子が担う。

　吉野監督は、物語の前半で、瞳の成長する前の姿をどこまでリアルに表現するかということに注力した。「吉岡さんはすでに有名で、世間では明るくてきれいな方というイメージがあるので、ひょっとしたらそれが瞳を演じる上で邪魔になるかもしれないとも思いました。映画の前半では、アニメの制作現場が、時間がなくて、ヒリヒリして、胃が痛くて、空気が淀んでいるような雰囲気であることを伝えるために、吉岡さんには笑顔を封印してもらいました。観客が安心して『いろいろあるけど結局楽しい世界なんだよね？』と思って観てしまったら、映画としてまずいかなと思って」と演出へのこだわりを語る。

　また、吉岡に対しては「言葉にするのが難しい人間関係や、たとえば瞳がスタッフに『頑張ってるね』とポンと肩を叩かれた時のなんとも言えない空気を出してほしい」と考えていたそうで、「逆に、映画の後半で成長していく瞳については、僕は特に細かく演出はしていなくて。瞳が監督として成長していく部分、スタッフの個性に合わせて指示を出していくようになるところは、吉岡さん自身が考えて演技してくれていました」と明かす。

　そうして完成した作品に、監督は「当初僕が思っていたより、映画の後半で成長した瞳がすごく生き生き映っていたので、良かったです」と手ごたえを感じている様子だ。

　また、吉岡、中村、柄本、尾野のキャスティングについて、高橋プロデューサーは「この役者さんたち以外では考えられないぐらいのハマリ役になったと思います」と自信をのぞかせた。吉岡については、「吉岡さん演じる新人監督の瞳は、きれいごとだけじゃない現実に対して、ときに怒ったり、諦めたり、それでも前に進んでいく人物なのですが、その時々に出る表情に説得力がほしいと思っていました。以前、出演いただいた『ホットギミック　ガールミーツボーイ』や、近作の『見えない目撃者』『泣く子はいねぇが』での佇まいの切実さ、そしてご本人にお会いした時に感じた、好きなモノ・作品に対しての熱さが行動の根本にある感じが瞳だと感じました」と起用理由を述べていた。（編集部・梅山富美子）