伊藤健太郎、2年ぶりの主演映画に涙…復帰も「賛否あることは覚悟」
俳優の伊藤健太郎が17日、都内で行われた2年ぶりの主演映画『冬薔薇(ふゆそうび)』(6月3日公開)の完成披露上映会イベントに登壇。世間を騒がせた事件から2年、本作で映画復帰を果たす伊藤は心中に去来する思いを素直に打ち明けた。
【動画】伊藤健太郎、感極まる!2年ぶりの映画復帰作『冬薔薇(ふゆそうび)』完成披露上映会
映画『北のカナリアたち』などの阪本順治が監督・脚本を手掛けた本作。港町を舞台に、その場しのぎの人生を送ってきた青年の周囲である事件が起き、意外な犯人像が浮かび上がる。主演を務める伊藤は、2020年10月に自動車運転処罰法違反及び道路交通法違反の疑いで逮捕されたのち不起訴処分となり、2021年10月末の主演舞台「SOULFUL SOUL」で役者業に復帰。映画主演は黒木瞳が監督した2020年公開の『十二単衣を着た悪魔』以来となる。
伊藤は満席の会場を見渡して「今日ここに立てていること、景色を見られていること、非常にうれしく思っております」とあいさつし、気持ちを整えるように大きく息を吐いた。本作のオファーに対しては「感謝以外の何物でもない。スクリーンに戻れるんだとわかってすごくうれしかったですし、あのタイミングで手を挙げてくださった阪本(順治)監督にも感謝しかないです」と振り返る。「味わったことのない感覚というか、この景色が早く見たかったなぁと思いながらずっと過ごしていたので……」と吐露すると思わず涙をこぼし、「うれしいです。すごく……」と言葉をつないだ。
この日は、伊藤ふんする主人公・淳の両親役の小林薫と余貴美子、阪本監督も来場。小林はオファーを受けた際、伊藤の名前を見て「ニタッと笑ってしまいました」と明かしつつ、「復帰第1作に呼ばれて、縁みたいなのを感じてうれしかったです」と率直にコメント。余は「伊藤さんはおじさんとかおばさんの会話をよく頷いて聞いてくれて、とってもいい人」と印象を語った。
本作で、伊藤をイメージして当て書きしたという阪本監督は、撮影前にじっくり話をしたことを打ち明ける。伊藤も「どういう環境で育って、どういう友達と遊んで、どういう家族関係で……と、すべてお話させていただきました。この期に及んで隠すことはないですし、監督が自分のこともしゃべってくれたので、安心して伝えることができました」と回顧。撮影初日は「いろんな思いがありましたけど、正直なところ、めちゃくちゃ怖かったです。阪本組ならではの温かい雰囲気の中で撮影をさせていただいたので、すぐに余計な不安要素は取り除くことができました」と安どの表情も見せた。
そんな伊藤について阪本監督は、撮影の現場でスタッフの仕事を手伝っていたことも伝えながら「一言で言うとスクリーンの似合う子、スクリーンのアップに耐えられる子」と評価。会場からは盛大な拍手が沸き起こった。
時折、笑顔をのぞかせながらトークを展開した伊藤は、最後に「復帰という形でこの映画に携わらせていただきました。意見が賛否あることは覚悟しています。公開するにあたって怖い気持ちもあるのですが、あの時、あのタイミングでできる最大の力を出し切ったつもりですし、自信をもって皆様にお届けできると思っています」と真摯な表情で力を込める。続けて「この場を借りて、ここに立てている自分に携わってくださった方々、『冬薔薇』に携わってくださった方々、事務所の方々、家族、友達、すべての方に、そしてここに来てくださっている方々に感謝を申し上げます」と礼を述べると、「本当にありがとうございました」と深々と頭を下げた。(錦怜那)