カンヌ男優賞はソン・ガンホ 是枝監督作『ベイビー・ブローカー』で
第75回カンヌ国際映画祭
第75回カンヌ国際映画祭の授賞式が現地時間28日にフランスで行われ、男優賞を是枝裕和監督作『ベイビー・ブローカー』のソン・ガンホが受賞した。
『ベイビー・ブローカー』は、『万引き家族』でカンヌ映画祭パルムドールに輝いた是枝監督による初の韓国映画。「赤ちゃんポスト」に預けられた赤ん坊をめぐって出会う人々の姿を描くヒューマンドラマで、『パラサイト 半地下の家族』のソンのみならず、『新感染半島 ファイナル・ステージ』のカン・ドンウォン、『空気人形』のペ・ドゥナ、歌手IUとして知られるイ・ジウン、「梨泰院クラス」のイ・ジュヨンら韓国の豪華キャスト陣が集い、公式上映では12分間に及ぶスタンディングオベーションを受けるなど好評を博していた。
是枝監督作のカンヌのコンペ出品はこれで6度目。2004年の『誰も知らない』では柳楽優弥に史上最年少での男優賞をもたらし、2013年に福山雅治が主演した『そして父になる』で審査員賞、前回2018年の『万引き家族』で最高賞にあたるパルムドールを受賞。最新作『ベイビー・ブローカー』でも韓国の名優に男優賞をもたらし、カンヌで再びその存在感を示すことになった。
なお、『ベイビー・ブローカー』は、カンヌ映画祭の独立部門の一つで、キリスト教関連の国際映画組織の審査員が選ぶ「エキュメニカル審査員賞」も受賞している。
今年のパルムドールは、スウェーデンの鬼才リューベン・オストルンド監督が初めて英語で手掛けた長編『トライアングル・オブ・サッドネス(原題) / Triangle of Sadness』が受賞。超富裕層向けのクルーズが沈没し、無人島に閉じ込められてしまったファッションモデルのセレブカップルを含む生存者たちの姿を描く風刺コメディーだ。オストルンド監督は『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017)に続き2度目のパルムドール受賞となった。出演はウディ・ハレルソン、ハリス・ディキンソンなど。(編集部・市川遥)
第75回カンヌ国際映画祭の受賞結果は以下の通り。
【パルムドール(最高賞)】
『トライアングル・オブ・サッドネス(原題) / Triangle of Sadness』(スウェーデン、イギリス、アメリカ、フランス、ギリシャ) リューベン・オストルンド監督
【グランプリ】
『クローズ(英題) / Close』(ベルギー、オランダ、フランス) ルーカス・ドン監督
『スターズ・アット・ヌーン(英題) / Stars at Noon』(フランス) クレール・ドゥニ監督
【審査員賞】
『ル・オット・モンターニュ(原題) / Le otto montagne』(イタリア、ベルギー、フランス) フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督、シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督
『エオ(原題) / EO』(ポーランド) イエジー・スコリモフスキ監督
【監督賞】
パク・チャヌク監督 『ディシジョン・トゥー・リーブ(英題) / Decision to Leave』(韓国)
【75周年記念賞】
『トリ・アンド・ロキータ(英題) / Tori and Lokita』(フランス、ベルギー) ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督、リュック・ダルデンヌ監督
【男優賞】
ソン・ガンホ 『ベイビー・ブローカー』(韓国)
【女優賞】
ザール・アミール・エブラヒミ 『ホーリー・スパイダー(英題) / Holy Spider』(デンマーク、ドイツ、スウェーデン、フランス)
【脚本賞】
タリク・サレー 『ボーイ・フロム・ヘブン(英題) / Boy from Heaven』(スウェーデン)
【カメラドール(新人監督賞)】
ライリー・キーオ監督、ジーナ・ギャメル監督 『ウォー・ポニー(原題) / War Pony』
【カメラドール スペシャル・メンション(特別表彰)】
早川千絵監督 『PLAN 75』
【短編コンペティション】
パルムドール
『ザ・ウォーター・マーマーズ(英題) / The Water Murmurs』(中国) ジャンイン・チェン監督