『ベイビーわるきゅーれ』伊澤彩織、新人女優賞に涙…スタントマンとしての8年が結実
第31回日本映画批評家大賞の授賞式が30日に東京国際フォーラムで行われ、映画『ベイビーわるきゅーれ』で新人女優賞(小森和子賞)賞を獲得した伊澤彩織が出席し、涙ながらに感激の言葉を述べた。
1991年、映画評論家の水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子ら当時第一線で活躍していた現役の映画批評家たちの提唱により誕生した「日本映画批評家大賞」は、映画界を励ます目的のもと、 現役の映画批評家が集まって実行する映画賞。今年の新人女優賞は、伊澤のほか石川瑠華、伊藤万理華、西川洋子が受賞した。
『ベイビーわるきゅーれ』は、女子高生の凄腕殺し屋コンビが、高校卒業を機に一般社会になじもうと悪戦苦闘するバイオレンスアクション。伊澤は、バイトもそつなくこなす相棒のちさと(高石あかり)とは対照的なコミュ障のまひろを演じた。『ある用務員』の阪元裕吾監督がメガホンをとり、『ディストラクション・ベイビーズ』『マンハント』などにかかわってきた園村健介がアクション監督を務めた。
ステージに立った伊澤は「このたびは素敵な賞をもらって、光栄だと思います」と切り出し、「本作にかかわったスタッフの皆さん、アクション監督の園村(健介)さん、支えてくれた……」と語ると、感極まり涙が。同映画賞で、阪元裕吾監督が新人監督賞を獲得したことも踏まえて「この後登壇される阪元監督とダブル受賞という、すてきなことになりました」と感謝の思いを述べる。
さらに「わたしは20歳の頃に、映画の中にある“アクション部”のことを知り、スタントマンとして映画界に関わることになりました。そんなわたしにまさかスポットライトが当たる日が来るとは夢にも思っていなかったので、しあわせです」と晴れやかな表情。「20歳の頃からアクション部の方々から、スタントの技術、撮影現場の技術を学ばせていただきました」としみじみ続けると、さらに「これからもメイド・イン・ジャパンのカッコいいアクションの一員になれるよう、鍛錬したいと思います」と意気込みを語った。
伊澤は、映画『キングダム』『るろうに剣心 最終章 The Final』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』などの映画で、メインキャストのスタントダブルを務めるなどスタントマンとして活躍。それだけに「演技よりも、アクションの方が安心感があって。演技の時になると逆に緊張してましたね」と述懐。
そんな伊澤の目標とする女優は? という質問には「アクション系ではありませんが、わたしが目標というのはおこがましいですが、オードリー・ヘプバーンにあこがれています」と笑顔を見せた。(取材・文:壬生智裕)
<第31回日本映画批評家大賞受賞者一覧>
作品賞:『偶然と想像』(濱口竜介監督)
主演男優賞:古田新太『空白』
主演女優賞:瀧内公美『由宇子の天秤』
助演男優賞:鈴木亮平『燃えよ剣』『孤狼の血 LEVEL2』
助演女優賞:三浦透子『ドライブ・マイ・カー』
監督賞:大友啓史監督『るろうに剣心 最終章 The Final』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
ドキュメンタリー賞:『くじらびと』(石川梵監督)
アニメーション作品賞:『フラ・フラダンス』(水島精二総監督/綿田慎也監督)
アニメーション監督賞:庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
新人監督賞:穐山茉由監督『シノノメ色の週末』
新人監督賞:阪元裕吾監督『ベイビーわるきゅーれ』
新人監督賞:藤元明緒監督『海辺の彼女たち』
新人男優賞(南俊子賞):佐藤緋美『ムーンライト・シャドウ』
新人男優賞(南俊子賞):Fukase『キャラクター』
新人女優賞(小森和子賞):伊澤彩織『ベイビーわるきゅーれ』
新人女優賞(小森和子賞):石川瑠華『猿楽町で会いましょう』
新人女優賞(小森和子賞):伊藤万理華『サマーフィルムにのって』
新人女優賞(小森和子賞):西川洋子『いとみち』
脚本賞:西川美和『すばらしき世界』
編集賞(浦岡敬一賞):堀貴秀『JUNK HEAD』
撮影賞:上田義彦『椿の庭』
特別賞(松永武賞):小倉智昭
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):荒木一郎
ダイヤモンド大賞:富司純子『椿の庭』