伊藤健太郎、周囲への感謝と共に決意も新た「もっと素敵な作品を届けることが僕の使命」

　俳優の伊藤健太郎が3日、新宿ピカデリーにて行われた映画『冬薔薇（ふゆそうび）』の初日舞台あいさつに阪本順治監督と共に登壇。伊藤は「僕をどん底から引き上げてくださいました」と切り出し、阪本監督に感謝の手紙を読み上げて感極まった様子を見せた。

阪本順治監督＆伊藤健太郎が登壇『冬薔薇』初日舞台あいさつの様子【写真】

　本作は、映画『半世界』『一度も撃ってません』などの阪本監督が、港町を舞台に描く人間ドラマ。その場しのぎの人生を送ってきた青年の周囲である事件が起き、意外な犯人像が浮かび上がる。阪本監督が伊藤と面談し、主人公である淳というキャラクターを構築したという。

　伊藤にとっては、2020年に公開された『十二単衣を着た悪魔』以来の映画出演となり、大きな拍手のなか笑顔で登場。「昨日の晩からドキドキしていました。初日というものがこんなにも愛おしいものなのか」と率直な思いを述べる。

　爽やかな表情が印象的な伊藤だが、阪本監督は「気持ちは強いけれど、心がガラス板のようなところがたまに感じられる。大きな声で笑って賑やかな子だなと思う部分と、その大きな声で笑うところに寂しさを感じることもある」と繊細な部分に触れる。阪本監督の言葉に伊藤は「自分ではあまり自覚はないのですが、そうやってしっかり自分のことを見てくださっているんだなと思うと、とても嬉しいです」とはにかんだ笑顔を見せた。

　続けて、伊藤は「この映画で監督にどん底から引き上げていただきました」と阪本監督に花束を贈ると、サプライズで綴った手紙を朗読する。監督やスタッフ、素晴らしい共演者との出会い、伊藤が復帰する場を与えた配給会社など、映画に携わったすべての人々への感謝を述べると「この『冬薔薇』という映画は僕にとっての宝物であり、芝居が改めて大好きだと思えた作品。そして自分の第2章の始まりの作品だと思っています」と力強く語る。

　そんな伊藤の手紙に阪本監督は「僕もこの仕事が来なければ、伊藤健太郎という人と仕事をすることはなかったし、こうした物語を綴ることはなかった。その意味では、伊藤くんに感謝です」と応える。伊藤は「僕は本当に人に恵まれています。こういう方々と近くにいてくださるのだから、もっと素敵な作品を届けることが僕の使命だと思うし、それができる役者になっていきたいと思います」と決意を新たにしていた。（磯部正和）

映画『冬薔薇（ふゆそうび）』は6月3日より全国公開中