『ジュラシック・パーク III』公開から21年…主要キャストの現在
シリーズ完結編『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』の公開を記念して、映画『ジュラシック・パーク III』(2001)が10日21時より日本テレビ系「金曜ロードショー」で放送される。Tレックスをしのぐスピノサウルスの出現、最新の研究を取り入れた羽の生えたラプトルなど、恐竜たちがアップグレードした本作。劇場公開から21年、グラント博士ら主要キャラクターを演じた個性派俳優たちの現在の活動に迫る。(神武団四郎)
アラン・グラント役:サム・ニール(74)
『ジュラシック・パーク』1作目以来、2度目の登場となった古生物学者アラン・グラント博士。「ジュラシック」シリーズで監修を務める古生物学者、ジャック・ホーナーをイメージして作られたという名物キャラを演じたのが、現在74歳のサム・ニールだ。北アイルランド生まれ、ニュージーランド育ちのニールは、国立フィルム・ユニットで演技や編集、演出を学び、『テロリストたちの夜/自由への挽歌』(1977)で俳優として本格デビュー。スティーヴン・スピルバーグ監督に見初められ『ジュラシック・パーク』(1993)でブレイクした。知的でどこか神経質そうな風貌を生かし、『マウス・オブ・マッドネス』(1994)といったホラーから、『モンタナの風に抱かれて』(1998)などのシリアスドラマ、『大脱出』(2013)などエンタメ大作まで幅広く出演してきた。
近年では、マーベル映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のカメオ出演も話題に。『ジュラシック』シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022)では、約30年ぶりにローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムとトリオを組み、グラント博士を再演している。
ポール・カービー役:ウィリアム・H・メイシー(72)
危険な島への冒険にグラント博士を巻き込むポール・カービーを演じたのは、インディーズ映画を中心にバイプレイヤーとして活躍しているウィリアム・H・メイシーだ。舞台俳優としてキャリアをスタートしたメイシーは、70年代よりテレビや映画に進出。マイケル・クライトン原作、スピルバーグ率いるアンブリン制作によるドラマ「ER 緊急救命室」(1994~2009)で人気を集め、『ファーゴ』(1996)では金に困って妻の狂言誘拐事件を思いつく中年男ジェリーを演じてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。『ジュラシック・パーク III』の脚本家アレクサンダー・ペインは、すべてが悪い方に転がっていくジェリーのキャラクターをポールの参考にしたと語っている。
ほかにもジュリアン・ムーア共演の『ブギーナイツ』(1997)ではポルノ女優の夫、『サンキュー・スモーキング』(2006)では禁煙運動に全力で挑む困った上院議員、『団塊ボーイズ』(2007)では奥手な独身プログラマーなど一風変わった役で存在感を発揮。『君が生きた証』(2014)では監督業に進出した。妻はハリウッドセレブの裏口入学事件で注目された「デスパレートな妻たち」のフェリシティ・ハフマン。
アマンダ・カービー役:ティア・レオーニ(56)
息子を救うため、なりふり構わず行動するちょっぴり天然なポールの元妻アマンダ・カービーは、現在56歳のティア・レオーニが演じた。80年代より舞台やシットコムを中心にキャリアを重ねた彼女は、マイケル・ベイ監督作『バッドボーイズ』(1995)のヒロインでブレイク。スピルバーグ製作総指揮の『ディープ・インパクト』(1998)ではニュースキャスターを熱演し、ファンタジー映画『天使のくれた時間』(2000)ではサターン賞主演女優賞に輝いた。
その後はウディ・アレン監督・主演作『さよなら、さよならハリウッド』(2002)、製作総指揮を兼任した『ユー・キル・ミー(原題) / You Kill Me』(2007)、『ジュラシック・パーク』シリーズ2作品の脚本を手がけたデヴィッド・コープ監督作『オー!マイ・ゴースト』(2008)とコメディーを中心に活躍。主演ドラマ「マダム・セクレタリー」(2014~2019)では女性国務長官をリアルに演じて絶賛を浴びた。
ビリー・ブレナン役:アレッサンドロ・ニヴォラ(49)
テクノロジーを駆使してグラント博士を支える、若き助手ビリーを演じたのはブロードウェイ出身のアレッサンドロ・ニヴォラ。ジョン・ウー監督作『フェイス/オフ』(1997)でニコラス・ケイジ演じる天才的犯罪者の弟ポラックスを演じて脚光を浴び、『アイ ウォント ユー』(1998)や『完全犯罪』(1999)などで犯罪に関わる青年を好演。『ジュラシック・パーク III』のビリーも、野心を秘めた役どころだった。その後『GOAL!ゴール!』シリーズではサッカー選手、『ココ・アヴァン・シャネル』(2009)は青年実業家、『アメリカン・ハッスル』(2013)では司法検事、『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』(2017)ではユダヤ教の聖職者、『ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち』(2021)ではマフィアと多彩な役を務めている。舞台での活動も続けており、当たり役は「エレファントマン」の外科医トリーブス。
エリック・カービー役:トレヴァー・モーガン(35)
ポールとアマンダの息子・エリックを演じたのは35歳になったトレヴァー・モーガン。公開時14歳だったモーガンは、5歳からショウビズ界で活躍し、1998年には「ER 緊急救命室」でヤングアーティスト賞にノミネート、『パトリオット』(2000)ではメル・ギブソンの息子を演じて話題を呼んだ。『ジュラシック・パーク III』でも、幼さの中にサイトBを生き抜くたくましさをにじませたビリーを堂々と演じていた。少年たちの葛藤を描いた『さよなら、僕らの夏』(2004)ではインディペンデント・スピリット賞を受賞。岩井俊二監督がカナダで撮影した『ヴァンパイア』(2011)にも出演している。現在は俳優のほか監督として短編映画製作にも積極的で、監督作『10時間(原題)/10 Hours』(2018)はインディペンデント短編映画賞などで受賞を果たした。