前田公輝「ちむどんどん」出演のめぐり合わせは奇跡!役者としてすべてが更新される実感
現在放送中の連続テレビ小説「ちむどんどん」で、ヒロイン比嘉暢子の幼なじみ・砂川智を演じている前田公輝。6歳から芸能界で活動している前田が「憧れていた場所」という朝ドラの世界。撮影を続けながら、大先輩たちがよく口にしていた「芝居には終わりがない」という言葉を身に沁みて感じているという。
連続テレビ小説第106作の「ちむどんどん」は、沖縄本土復帰を目前にした沖縄「やんばる地域」に暮らす四兄妹の次女・暢子(黒島結菜)が、夢である料理人を目指して奮闘する姿が描かれる。前田演じる智は四兄妹と幼なじみの豆腐店の息子で、暢子に密かな恋心を寄せている。小さな家業を継ぎながらも、いつか大きな商売を! と野望を抱いている青年。暢子を追うように上京し、現在も奮闘している。
6歳から芸能活動を始め、数々の映画やドラマに出演している前田だが、連続テレビ小説への出演は初となる。「同じ人間を半年に渡って演じるという経験はとても貴重です」としみじみ語ると「ずっと憧れていた場所。少しでも出演できればと思っていたのですが、こんなに大きな役で夢が叶うなんて……」と感慨深い表情を見せる。
前田にとって「ちむどんどん」という作品には不思議な縁を感じているという。「子どものころ『天才てれびくんMAX』という番組に出演していたのですが、沖縄は初めて長期ロケを行った場所。さらにギャグではなくシーサーの日(4月3日)に生まれて(笑)、初めて買ったCDも(沖縄が拠点のバンドである)ORANGE RANGE さんなんです」
「僕は昔から家族愛がすごくて、放課後に友達から遊びに誘われても、兄と遊ぶ約束をしていたら、そっちを優先するぐらいで……。今回の『ちむどんどん』も沖縄の家族の絆が描かれているじゃないですか。すごくそういう意味でも、この作品に出演できたことは運命的なものを感じます」
こうした“縁”を感じているからこそ、智という青年に対しても強く共感できるという。「智の軸になっているのは家族。僕自身も大きな幹になっているのは家族なので、そこの共通点はあります。さらに仕事への向き合い方は共感にプラスして、憧れる部分も多いです」
そんな智は、密かに暢子に思いを寄せる。その理由について前田は「砂川家は貧乏で、父も亡くなっているなど決して恵まれた環境ではない。そこで家業を継いで必死に生計を立てている豆腐を、本当に幸せそうに暢子は食べるんです。智にとって辛くて悲しいときでも、暢子の嬉しそうに食べる姿は救いになっていたと思うんです」と解釈を述べる。暢子を演じている黒島については「新しい座長の形」と表現すると「結菜ちゃんは常にフラットな状態で現場にいるので、とても安心感があります」と信頼を寄せているようだ。
現在も絶賛撮影中だという前田だが「よく役者の大先輩が『芝居に終わりはない』ということをおっしゃっているのを聞いていたのですが、まさにいまこの言葉が腑に落ちています。本当に日々真新しいことばかりで、吸収すべきことが多いです」と大きな刺激を受けていることを明かす。「智という役柄を通じて、役へのアプローチ方法も、プライベートの人としても、すべてが更新されている感覚がすでにある。自分自身の未来がこんなにも楽しみになる役と出会えたことが、すごく大きな喜びです」と目を輝かせて語っていた。(取材・文:磯部正和)