『ソー:ラブ&サンダー』悪役ゴアとは?神殺しを名乗る凶悪ヴィランの歴史
映画『マイティ・ソー』シリーズ第4弾『ソー:ラブ&サンダー』(7月8日全国公開)の悪役として登場するキャラクター・ゴア。“神殺し”の異名を持つ最凶ヴィランは、一体何者なのか? マーベル・コミックにおける歴史とあわせて、彼の謎に迫る。
原作コミックではこんな人物
コミックでの初登場は、2013年の「Thor: God of Thunder #2」と比較的最近。ゴアは水不足や地震に悩まされ、住民たちが神を信仰する惑星で生まれた。しかし、妻や子供たちを飢餓や病で次々と失い、やがて神を信じなくなり、全ての神を滅ぼすことを誓って、信仰心の強い住民たちから追放される。そして、砂漠を彷徨っていたところ、神同士の戦いの場に遭遇し、暗黒の神ヌルの強力な剣「オールブラック・ザ・ネクロソード」を手に入れる。そして、この剣を使って次々と神を抹殺し、“神殺しのゴア”と呼ばれるようになる。
コミックにおけるオールブラック・ザ・ネクロソードの正体は、シンビオートの創造主である邪神ヌルが生み出した、最古のシンビオート。シンビオートは、他の生物と結合して特殊なパワーを持つ共生体になる寄生生物。あのヴェノムやカーネイジもシンビオートだ。コミックでは、ゴアもシンビオートによって強大なパワーを持つようになる。
ちなみにコミックには、ゴアが別の時代の3人のソーと戦うエピソードがあり、本作にはナタリー・ポートマン演じるマイティ・ソーも登場するので、さらにもう1人のソーが登場するのではないかとの噂もある。また、コミックではゴアは様々な神を殺すので、最新作でラッセル・クロウが演じる全知全能の神ゼウスの運命がどうなるのかも気になるところだ。
『ダークナイト』クリスチャン・ベイルが悪役に
コミックのゴアはエイリアンで顔は爬虫類的な形だが、映画におけるゴアの顔は人間とあまり変わらない様子。演じるクリスチャン・ベイルは、『バットマン ビギンズ』から始まるクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』三部作でバットマン役を務めたことで知られており、DCのヒーローに続いて、マーベルのヴィランも演じることになった。
ベイル自身は Total Film 誌のインタビューで、ゴアの役づくりの参考にしたものを3つ挙げている。一つはスキンヘッドが共通の、1922年製作のF・W・ムルナウ監督作『吸血鬼ノスフェラトゥ』の吸血鬼。また、監督と一緒にゴアの動きをダンスのようにしようと考え、1980年代にダンスやパントマイムを取り入れたパフォーマンスで人気を集めた英ミュージシャン、ケイト・ブッシュの動きを意識したという。ちなみに、彼女のヒット曲「Running Up That Hill」(1985)はドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン4で使用され、リバイバル・ヒット中だ。
そして3つ目が、1990年代の英人気テクノ・アーティスト、エイフェックス・ツインの1997年のユーモラスなのに怖いクリップ「カム・トゥ・ダディ」。ベイル自身は「この意識がどこまで本編に反映されているか分からないが」と語っており、その真相は本編を観て確認したい。
今後のMCUとの関連は?
原作コミックにおける、ゴアの剣オールブラック・ザ・ネクロソードの正体はシンビオートだ。映画でもこの設定のままなら、今後ソニー・ピクチャーズ製作の『ヴェノム』シリーズと繋がる可能性も考えられる。
さらにコミックには、ソーがギャラクタスとの戦いの際に、このオールブラック・ザ・ネクロソードを使うエピソードが存在する。ギャラクタスは、1966年のコミック「ファンタスティック・フォー」に初登場した、宇宙を滅ぼす力を持つ強大なヴィランで、マーベル・スタジオで現在進行中の「ファンタスティック・フォー」新作映画にも登場することがあるかもしれない。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でのあらゆる可能性も含めて、最新作でのゴアとオールブラック・ザ・ネクロソードは要チェックだ。(文・平沢薫)