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『ジュラシック・ワールド』完結編、T-レックスは29年前のモデルを復元!VFXスーパーバイザーに聞く制作秘話

T-レックスのモデルも原点回帰!
T-レックスのモデルも原点回帰! - (c) 2021 Universal Studios. All Rights Reserved

 映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(全国公開中)でVFXスーパーバイザーを務めたデヴィッド・ヴィッカリーがリモートインタビューに応じ、シリーズ完結編での取り組みや、コロナ禍でのVFX制作について語った。

【動画】レジェンド再集結!『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』特別映像

 『シャーロック・ホームズ』『ハリー・ポッターと死の秘宝』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』などに携わったヴィッカリーは、世界有数のVFX工房で知られるILM(インダストリアル・ライト&マジック)でVFX制作や企画開発を務める、ハリウッドには欠かせない重鎮の一人だ。

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 『ジュラシック』シリーズといえば、現代に蘇った恐竜たちの姿をアニマトロニクスとVFXを駆使して表現した、革新的な映像技術が高く評価されている。最新作では、『ジュラシック・ワールド』前2作よりもアニマトロニクスの比率が多くなっているとヴィッカリーは明かし、「完結編はシリーズで最も現実的で、観客が最高の映画体験を味わえる作品にしたかった」とその狙いを語る。

 「観客が映画を観て心を揺さぶられるのは、彼らが観たものに説得力があるから。コリン・トレヴォロウ監督が私たちに求めたのは、キャスト全員が撮影現場で互いにリアルで説得力ある演技を披露できるようにすること。VFXだけでは限界があるので、アニマトロニクスが大きな助けになるのです。アニマトロニクスは目の前に実際に存在するので、俳優の演技により説得力が加わります。VFXの役割は、俳優の演技とアニマトロニクスの動きに生じる違和感をなくすこと。デジタル処理はより高度な技術が求められますが、作品のクオリティーを高めるには必要不可欠な要素です」

 1993年の『ジュラシック・パーク』から約30年近く続いてきたシリーズに終止符を打つ本作。トレヴォロウ監督は、スティーヴン・スピルバーグが手がけた1作目への原点回帰を目指したと語っており、VFX部門でも1作目に敬意を表し、シリーズの看板恐竜ティラノサウルス(T-レックス)は、29年前のモデルを復元して制作された。

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 「T-レックスは『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』とシリーズを通して進化してきました。前作『炎の王国』では(監督の)J・A・バヨナがホラー演出を求めていたので、より恐ろしく見せようと試みました。最新作では、トレヴォロウ監督が『過去の栄光の復元』を掲げています。そのため、私たちも29年前に公開された1作目に立ち返り、当時のテープを参考に3DモデルのT-レックスを制作しました。当時の目の質感であったり、アゴの可動域なども復元し、現在のT-レックスと合成しています。私たちが行った復元作業は、デジタルにおける古生物学とも言えますね(笑)。当時のT-レックスが戻ってくるのは、『ジュラシック・パーク』世代の私たちも大興奮でした」

 新型コロナウイルスのパンデミック下で制作された本作。大手スタジオはもちろん、ILMもリモートワークへの切り替えを余儀なくされた。「とても大変でした。月曜日に何事もなく出社していたのが、翌日から完全リモートに変わってしまった。仕事を中断することもできないので、社員は機材を自宅に持ち帰り、作業を継続しました。自宅作業の環境を整えてくれた技術部門には感謝しています」

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 撮影が中断した期間は、すでに撮り終えたシーンの編集作業に入るなど、普段よりも忙しい日々を過したとヴィッカリーは語る。「主要撮影から3~5週間が経過していたので、映画のプロローグは編集可能でした。プレビズ・撮影・編集がほぼ同時進行で行われたこともありましたね。想像以上に忙しかったです(笑)」。ヴィッカリーによると、現在はリモートワークとオフィス勤務を組み合わせているそうで、「勤務時間の3割~4割はオフィスにいますよ」と明かしていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

『ジュラシック・パーク』レジェンド3人が新作で再集結!『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』特別映像 » 動画の詳細
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