細田佳央太×駒井蓮共演で大前粟生「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」映画化
大前粟生(おおまえ・あお)の同名小説を細田佳央太主演で映画化する『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』が来春公開されることが29日、明らかになった。大学のぬいぐるみサークルを舞台に、細田演じる男らしさ、女らしさのノリが苦手な大学生と彼らを取り巻く人々を描く物語で、細田にとって映画主演は2019年公開の『町田くんの世界』以来。共演に、『いとみち』で国内映画祭を席巻し、連続テレビ小説「ちむどんどん」への出演も話題を呼んだ駒井蓮。監督を、オムニバス映画『21世紀の女の子』の一篇「projection」や『眠る虫』などの新鋭・金子由里奈が監督を務める。
原作者の大前は、最新刊「死んでいる私と、私みたいな人たちの声」をはじめ、「おもろい以外いらんねん」「きみだからさびしい」など繊細な感性で話題作を生み出し続ける新星。もともと大前と交流のあった金子監督が「商業での長編デビューをするならこの作品」と熱望。脚本を、監督の実兄であり演劇ユニット「コンプソンズ」の主宰を務める金子鈴幸と共同で手掛け、監督とかねてより親交のあった立石草太率いるバンド「ジョンのサン」が劇伴を務める。
主演の細田は現在、日本テレビ系ドラマ「家庭教師のトラコ」が放送中。近年、TBS日曜劇場「ドラゴン桜」(2021)や映画『子供はわかってあげない』(2021)などで注目を浴び、今年1月クールに主演ドラマ「もしも、イケメンだけの高校があったら」が放送。4月クールに放送された連続ドラマの映画版『劇場版 ねこ物件』が8月5日より公開されるほか、映画『線は、僕を描く』(10月21日公開)や2023年大河ドラマ「どうする家康」(徳川信康役)などを控える。
細田は本作の撮影を、「初めて『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』のお話を聞いたときは、間違いなく今やるべき作品だと感じました。現代が不安定な中で、ぬいしゃべを世に送り出すことで必ず誰かを救うことができるのではないかと。繊細で優しすぎる七森を演じることはプレッシャーや不安が付き纏っていましたが、本当に温かいぬいしゃべチームに支えて貰い、演じ切ることができました。七森と同じような苦しみや悩みを抱えている人たちの気持ちが少しでも楽になって貰えたら嬉しいです」と振り返っている。
駒井、原作者・大前、金子監督のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
駒井蓮(麦戸美海子役)
「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」に出会えて本当に良かったです。また、金子監督をはじめキャスト、スタッフの皆さんが、ずっとずっと「やさしい」空間を作ってくださったからこそ、私も麦戸として楽しくぬいぐるみと喋ることが出来ました。この映画は、肯定するしないに拘らず、まず今の気持ちを受け止めてくれて、人々のグレーな部分に寄り添ってくれる作品だと思います。是非、楽しみにして頂けると嬉しいです。
大前粟生(原作)
最終日に撮影を見学させて頂いたのですがめちゃくちゃ雰囲気のいい現場でした。スタッフさんキャストさんひとりひとりが登場人物たちやぬいぐるみたちと友だちになっているみたいで、ぬいぐるみサークルの部室はとっても居心地が良かったです。金子さん監督の"ぬいしゃべ"超楽しみです!
金子由里奈(監督)
弱いひとが弱いまま生きられる場所はないのだろうか。そう思っていた時にこの原作に出逢いました。『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』には傷ついた人がたくさん出てきます。撮影中、私自身も人間が持つ加害性や言葉について幾度も省みていました。物語に共鳴してくれた俳優さんやスタッフ陣と、傷つくことや優しさについて、一緒に立ち止まって考えながら作
り上げた映画です。私たちは圧倒的に対話が足りてない。社会が少しでも優しくなりますように。日々の無力さに疲れてしまったあなたに観てもらいたいと願っています。