松本まりか、息子を拒絶する毒母役「今までにない感覚」
映画『ぜんぶ、ボクのせい』(公開中)の初日舞台あいさつが11日、新宿武蔵野館で行われ、白鳥晴都、川島鈴遥、松本まりか、オダギリジョー、松本優作監督が登壇した。
映画『Noise』などの松本監督が脚本も手掛けた本作は、児童養護施設で母の迎えを待ちながら生活している少年が施設を抜け出した先で、それぞれに孤独を抱えた人々と出会い、成長していくさまを描くドラマ。
主人公の優太を演じるのは14歳の白鳥。瀬々敬久監督の映画『とんび』でスクリーンデビューを果たした白鳥は、2本目の映画作品となる本作でのオーディションで、早くも主演の座を勝ち取った注目株だ。この日も「今日は素晴らしい先輩方とこのような舞台に立たせていただき、本当にうれしく思います」と晴れやかにあいさつ。撮影が行われた1年前よりも「15センチほど身長が伸びた」とのことで、まだまだ成長期であることがうかがい知れた。
続く川島が「和気あいあいとした共演者の皆さんと楽しい雰囲気で今日を迎えられてうれしいです」と笑顔を見せると、松本が「わたしは現場では、優太くん(白鳥)と、監督としか一緒じゃなかったんですが、今日のオダギリさんと川島さんと3人の空気が本当に和やかで、みんな笑いあっていて。きっと楽しい現場だったんですよね?」と尋ねると、白鳥も「みんな家族みたいじゃないですけど、そんな感じで楽しい現場でした」とにっこり。
だが劇中で松本が演じた梨花は、母であることを放棄し、女性として生きることを選択。母が恋しくて訪ねてきた息子の優太を「ごめんね」と言いながらも追い返すというシーンが話題を集めた。松本は「自分でもビックリしたんですけど、『帰って』と言いながら優太を押し返すんですよね。でも優太の身体がすごく柔らかくて、小さくて折れそうで」と振り返り「自分が拒否しているのにすごく悪いことをしているような。今まで感じたことがないような感覚だったことを覚えています」とコメント。さらに「ネグレクトしている母親の感情は、想像だけじゃなかなか難しかったですけど、あの時、優太に触れて何かがわかった気がしましたね」と付け加えた。
白鳥も「さっき言っていたシーンは、何度も撮らせていただいて。とにかく松本さんと(母親と一緒に暮らす男を演じた)若葉(竜也)さんの熱量がすごくて。僕が持っている力以上のお芝居ができたんじゃないかなと思います」と自信を見せた。
壮絶シーンの裏側を聞いた直後は、オダギリへの質問が。仲野太賀ふんするリサイクル工場で働く片岡とのコミカルなやり取りはアドリブだった? という質問に「松本さんのお話が良かったのに、今さら僕が何をしゃべることがあるんだろう」とボヤきつつも、「実は撮影の時のことはあまり覚えていなくて。ただ現場に大きくて、ふくよかな猫がいて。僕も猫を押しだそうとしたんですけど、その感触が柔らかくて。その時、僕もすごく理解できたなと思います」と松本のコメントを拝借し、笑いを誘った。
俳優陣を見守っていた松本監督は「素晴らしい役者さんとご一緒できたので、ぜひ皆さんの芝居を観ていただきたい」と全幅の信頼を寄せている様子だった。(壬生智裕)