池井戸潤が感じた竹内涼真&横浜流星の演技のすごさ!『アキラとあきら』に太鼓判
映画『アキラとあきら』(公開中)の原作小説を手掛けた池井戸潤が、ダブル主演を務めた竹内涼真と横浜流星の演技について称賛を贈った。
竹内涼真&横浜流星、スーツ姿カッコよすぎ!『アキラとあきら』場面カット
本作は、父親の経営する町工場が倒産し、幼くして過酷な運命に翻弄(ほんろう)されてきた山崎瑛(竹内)と、大企業の御曹司ながら血縁のしがらみに抗い続ける階堂彬(横浜)、偶然同じ名前を持つ2人が、情熱と信念を武器に社会に立ち向かう姿を描く。日本有数のメガバンク「産業中央銀行」に同期入社するも、山崎は自らの信念を押し通した結果、左遷される。一方、順調に出世していた階堂の前にも、親族同士の骨肉の争いという試練が再び立ちはだかる。
ドラマ「半沢直樹」「下町ロケット」シリーズなど数々の作品が映像化されヒットしてきた池井戸は、「映像化については各クリエイターに任せているのですが、今回すごく自分の感性にあったものが出てきた」と本作に太鼓判を押した。「ビジネスストーリーでもあるし、青春ストーリーでもある。その2つが高次元で融合していて、とてもいい出来」と思い、試写の直後に竹内と横浜の2人に声を掛けたそう。
さらに、「今回、脚本も良くできてるんですけど、もう一つ、銀行監修がよく行き届いてました。多分、銀行の人が観ても納得するようなディティールだと思います。銀行監修の担当者が『銀行とはどういうところか』というレクチャーをしたそうですが、『大学の講義みたいだった』と竹内くんが言ってて(笑)。セリフを言うために、見えないところでも役をつかむ努力をされていたんだとわかりました」と明かす。
竹内は、「下町ロケット」「陸王」に続き、池井戸作品への参加は3作目となる。「竹内くんは、『陸王』のときにものすごく気合が入っていて。初回の試写が終わったあとにたまたま廊下で出会ったんですが、真顔で『池井戸さん、俺の演技どうでしたか?』って聞いてきたんだよね(笑)。あの役は感情のグラデーションがそれほどなかったと思うけど、今回の竹内くんは、様々な表情を見せてくれる。演技の幅がすごく広がってて、役者として大きく成長しているのでは」とベタ褒め。「与えられた役に対する掘り下げが深くなり、山崎瑛という役をどう自分のものにし、なりきるか、そういったことをしっかり考えて演じられたのでは」と新たな魅力を感じた様子。
一方の横浜は、池井戸作品に初参加。苦悩する彬を熱演した横浜について、「横浜さんが演じている彬は、性格がかなり歪んでいて(笑)。金持ちの家に生まれたけれど、自分のやりたいことはできないし、弟との関係もギクシャクしている。また、叔父さんたちとの関係も悪化していく。それが嫌で家を出て行ったはずなのに、傾いた家業を助けなきゃいけない立場に置かれるという、すごく複雑な役柄です。その心情を横浜さんがとても上手に演じていました。あれはもう役者として素晴らしい演技」と絶賛する。
また、横浜ふんする優秀な彬にコンプレックスを抱く弟・龍馬役で高橋海人(King & Prince)が出演。池井戸は、「若さゆえの、若気の至り的な行動をとる役です。勢いはあるけれども、同時に愚かでもあるという。そういった龍馬の哀しさをよく表現されたと思います」と満足気な表情を浮かべていた(高橋の「高」は「はしごだか」が正式表記)
仕事へ真剣に取り組むことの面白さを、若手キャストが情熱的に紡ぐ本作。原作者である池井戸は、若者世代に観てもらいたいという気持ちはあるのだろうか。「若者に向けてという意識で書いてはいないんです」と前置きしつつ、「与えられている仕事のなかで、自分のやりたいように工夫してやる、また徹底的にやるというスタンスは、意外にとれないもの。でも仕事は、会社から何か言われてそれをこなすだけではなく、信念を持って『私はこういうことをやるために、またやりたいからここに居るんだ』と思えるべきだと思うんです。そういう意味では、この映画は刺激になるかもしれません」と語っていた。(編集部・梅山富美子)