今夜『耳をすませば』放送!声優キャスト&見どころをおさらい
1995年に公開されたスタジオジブリのアニメーション映画『耳をすませば』が、26日放送の日本テレビ系「金曜ロードショー」にてノーカット放送される。本作の声優キャスト陣や作品の見どころなどを紹介する。
実写映画『耳をすませば』では清野菜名&松坂桃李がしずくと聖司に【写真】
『耳をすませば』は、小説家を夢見る少女・月島雫とバイオリン職人を目指す少年・天沢聖司の青春の日々を描く恋物語。中学3年生の夏休みを前にした雫は、図書館で本を借ると必ず図書カードに「天沢聖司」という名前が書いてあることが気にかかる。彼に恋にも似たほのかな想いを抱きはじめたある日、同級生の聖司と最悪な出会いを果たす。偶然迷い込んだアンティークショップ「地球屋」で彼と再会し……。公開から25年以上を経た今でも愛される不朽の名作として、これまでもたびたびテレビ放送されてきた。
個性豊かな声優陣!
高校受験を控えながらも小説執筆に没頭する雫の声は本名陽子。本作では主題歌「カントリー・ロード」の歌唱も担当した。ジブリ作品には『おもひでぽろぽろ』『猫の恩返し』にも参加したほか、アニメ「プリキュア」シリーズでは美墨なぎさ(キュアブラック)役としても人気を博している。そして雫に思いを寄せる聖司を演じたのは、当時14歳の高橋一生。最近では『シン・ウルトラマン』でウルトラマンの声を担当していたことも話題を呼んだ。
共演にも個性的な面々が揃う。聖司の祖父で二人のことを見守る地球屋の主人に小林桂樹、雫が書いた物語に登場する猫の人形バロンに露口茂、雫の両親には立花隆と室井滋、そして雫の姉には山下容莉枝が声をあてた。山下は『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』にも出演している。また、高山みなみが保健室の高坂先生役、岸部四郎が教師役を務めたほか、笛吹雅子や江川卓といった顔ぶれも参加している。
宮崎駿が偶然出会った原作コミック
原作は集英社の少女まんが雑誌「りぼん」の1989年8月号から連載された柊あおいによる同名コミック。初連載作「星の瞳のシルエット」で人気を呼んだ柊の次回作で、当時は大きな人気は出ず、4回で連載が終了した(その後、単行本が1990年に発売)。柊はその後も「銀色のハーモニー」などのヒット作を手掛けている。
そんな“原石”を宮崎駿が発見したのは、第2回が掲載された「りぼん」を読んだことがきっかけ。『風の谷のナウシカ』が完成した1984年の夏あたりから少女マンガに関心を寄せていた宮崎は、その第2回だけを熟読し、プロデューサーの鈴木敏夫に物語のラストについて話し合うなどし、企画が進んでいく。宮崎が脚本を手掛け、原作にはない要素も加えられていくなかで、新たなアニメーション作品として生まれ変わっていくことになる。
45歳の新人監督による、希望に満ちた恋物語
『耳をすませば』で監督を務めたのは、この作品で監督デビューを飾った近藤喜文。1970年代からアニメの世界で活躍したが、このときは45歳。宮崎監督とは長年の仕事仲間として作品づくりを共にし、高畑勲監督の『火垂るの墓』ではキャラクターデザインと作画監督として参加するなど、ジブリの主要作品で重要な役割を担っていた。
そんな近藤監督にとって『耳をすませば』は念願の企画。「未来少年コナン」「赤毛のアン」といった作品に携わった1970年代終わり頃から、爽やかな少年と少女の物語を作りたいという思いがあり、日常の中にある中学生のの恋模様が描かれた。宮崎監督とはひと味違う個性が発揮された青春ストーリーが生み出された。
本作で描かれる物語は、初めて経験する恋や自分の将来について真剣に向き合う姿など、等身大の日常で誰もが経験した懐かしい感情を呼び起こす。また、想像を掻き立てるロマンチックな雫と聖司の運命的な出会いをはじめ、クライマックスで訪れるファンタジックな展開など、一瞬一瞬の時間を大切にしようろ前向きな気持ちにもなれるはず。
ちなみに、作画監督を担当したのは高坂希太郎。それまでの作品には原画として参加していたが、今作で作画監督デビューを飾る。その後は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』でも作画監督を担当ことになる。最近では監督を務めた『若おかみは小学生!』(2018)が大きな話題を呼んだ。
実写映画もまもなく公開!
柊のコミックが新たに実写映画として映像化され、10月14日より全国公開される。今回の実写映画では、漫画やアニメ映画で描かれた中学生時代の物語をはじめ、完全オリジナルストーリーの10年後の物語が加わることになる。清野菜名が大人になった雫、松坂桃李が聖司を演じ、監督を平川雄一朗が務めた。キャストには山田裕貴、内田理央、松本まりか、田中圭なども名を連ねる。(編集部・大内啓輔)