木村文乃、ベネチア映画祭は「特別な時間」 砂田アトムはハプニング告白
俳優の木村文乃が9日、都内・TOHOシネマズ日比谷で行われた主演映画『LOVE LIFE』初日舞台あいさつで、現在開催中の第79回ベネチア国際映画祭に参加した時のことを振り返った。この日は共演者の永山絢斗、砂田アトム、山崎紘菜も登壇したほか、ベネチア国際映画祭に参加中の深田晃司監督からビデオメッセージが寄せられた。
メ~テレ60周年記念作品として制作された本作は、『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田監督が、矢野顕子の楽曲をモチーフに制作。愛する夫と息子と幸せな日々を送っていた主人公・妙子(木村)に突然降りかかる予期せぬ悲劇、その悲しみの先に見いだした彼女の選択を描き出す。
本作は、現在開催中の第79回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。木村と砂田は現地での上映に参加し、帰国したばかりだという。その時のことを「レッドカーペットはキャストと監督だけでなく、その映画の製作や配給に携わる皆さんと一緒に歩くんですよ」と振り返った木村は、「そこから映画の公開が始まるので、『LOVE LIFE』という子どもを家族みんなで一緒になって世に送り出すような、背中を押していくような感じがして。わたしにとっても特別な時間だなと思いました」と噛みしめた。
また実際に行ってみて「ベネチアは沖縄ですね」と感じたという木村。「ヨーロッパだから涼しいかなと思って長袖で行ったんですけど、半袖で十分。連日、天気に恵まれた中でレッドカーペットを歩いたり、映画を上映したりしたので、“いい航海”が始まるなと。ベネチアだけにそう思いましたね」と笑顔で付け加えた。
一方の砂田も「ベネチアでレッドカーペットを歩いたことが忘れられません。本当に感動しました」としみじみ。「小さい時にテレビで(映画人が)レッドカーペットを歩いている姿を見ていましたが、自分にはできないだろうと思っていました。でも自分がレッドカーペットを歩くことができた。しかも木村さんと、深田晃司監督と3人で歩くなんて、ちょっと浮き足立つような気持ちもあったんですけど、本当にうれしくて、感動しました。それが忘れられない思い出ですね」
さらに砂田は「もう一ついいですか?」と続け、「記者会見の時の話です。木村さんはとてもきれいな洋服を着ていて。自分もしっかりと(衣装を)キメて。車から降りたって、木村さんと腕を組んで歩いたんです。すごく幸せだな、なんて思いながら歩いていました」と述懐。その時はファンから熱烈な歓迎をうけ、スマホで写真撮影したり、手を振ったり意気揚々と歩いていたというが、「そこで道を間違えてしまったんです。こっちじゃなかったと引き返したりして。それもいい思い出です」と思わぬハプニングを明かした砂田の飾らない人柄に、会場も笑いに包まれた。
ベネチアのほかトロント国際映画祭への出品も決まっている本作だが、さらに釜山国際映画祭への出品も決まったことがこの日発表された。木村は、「この作品は韓国手話が大きなテーマとなっています。今回、その韓国手話を教えてくれた桑原絵美さんと、韓国にいらっしゃるご友人の方が協力してくださったおかげでわたしたちの韓国手話が成り立っているので。やっと恩返しできるなと思うとうれしいですね」と晴れやかな表情を見せた。
そんななか、ベネチア国際映画祭に参加中の深田監督からのビデオメッセージが。「本日は会場に伺えずにすみません。そちらは満席でしょうか? 満席だといいなと思いながら今話しています」という監督の言葉を受けた木村が「満席ですか?」と満員の客席に問いかけると、会場から拍手が。さらに木村は「この後、監督はトロントにも行かれるそうなので。お体を大事に旅だってほしいですね」と呼びかけた。
そして最後のメッセージを求められた木村は「ポスターには『痛かった、全部』というキャッチコピーが書いてあったので。重い映画かな、怖い映画かな、と思われてしまうかもしれないんですが、見終わった後、とてもさわやかな風が吹く気持ちになって帰っていただける映画だと思います。(上映時間的に)帰りは暗い夜道だと思いますが、きっと暖かい光が差すような気持ちになって帰っていただけると思うので、ぜひそれぞれ生きている人たちの物語を楽しんで観ていただけたら」とメッセージを送った。(取材・文:壬生智裕)
映画『LOVE LIFE』は全国公開中