濱口竜介監督が国際映画批評家連盟賞グランプリ受賞に感謝!サンセバスチャン映画祭
濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』が国際映画批評家連盟(FIPRESCI)の年間グランプリに選ばれ、スペイン・バスク地方で開催中の第70回サンセバスチャン国際映画祭のオープニングセレモニーで授賞式が行われた。同作は世界初公開された第74回カンヌ国際映画祭での脚本賞受賞に始まり、アカデミー賞国際長編映画賞(旧・外国語映画賞)など約1年間で数々の受賞を重ねてきたが、その評価を裏付けるかのように批評家による最高の栄誉で受賞ラッシュの締めを飾った。
同賞はFIPRESCIに所属する世界各国の批評家の投票によって選ばれるもので、今年は646人が参加。1999年の同賞設立以降、ペドロ・アルモドバル監督『オール・アバウト・マイ・マザー』(1998)やジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)、クロエ・ジャオ監督『ノマドランド』(2020)などその年を代表する作品が選ばれてきた。
2022年は1次投票を経て、ポール・トーマス・アンダーソン監督『リコリス・ピザ』(2021)、ジェーン・カンピオン監督『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作のリューベン・オストルンド監督『トライアングル・オブ・サッドネス(原題) / Triangle of Sadness』、そして『ドライブ・マイ・カー』がファイナリストに選ばれた。決選投票の結果、『ドライブ・マイ・カー』がグランプリとなった。
例年、受賞セレモニーが行われるサンセバスチャン国際映画祭は、濱口監督にとって思い出深い場所。初長編映画『PASSION』(2008)がニューディレクターズ部門に選ばれて初めて参加した国際映画祭だった。しかし今や時の人となり他の映画祭と予定が重なったために現地入りできず。代わりにビデオメッセージを寄せた。
濱口監督は「この映画は3時間あるということで、観客の元までちゃんと届くのか不安だったのですけど、蓋を開けてみれば世界各国で観ていただけた。このことは各国の批評家たちが3時間あっても映画館で観る価値のある作品だと後押ししてくれたからだと思っています」と感謝の言葉を述べた。
なお、川村元気監督『百花』が選出されたオフィシャルセレクション部門(コンペティション)の審査委員長を米俳優グレン・クローズが務める予定だったが、家族の緊急事態によって参加をキャンセルした。代役として、もともと審査員だった映画『明日に向かって笑え!』(2019)などのアルゼンチンのプロデューサー、マティアス・モステイリンが務め、6人体制で審査を行う。
日本関連作品は以下の通り。
■オフィシャルセレクション部門(コンペティション)
川村元気監督『百花』
■ニューディレクターズ部門
古川原壮志監督『なぎさ』
関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦監督『宮松と山下』
■サバルテギ・タバカレラ部門
深田隆之監督『ナナメのろうか』
白井エリック、津村将子監督『行き止まりのむこう側』
■キュリナリーシネマ部門
中江裕司監督『土を喰らう十二ヵ月』
ロジャー・ザヌイ監督『ミブ。ザ・ムーン・オン・ア・ディッシュ(英題) / Mibu. The Moon on a Dish』(スペイン)
■パール部門
是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』
■ネスト部門
Manaka Nagai監督 『月の夜』(ドイツ)
第70回サンセバスチャン国際映画祭は現地時間24日まで開催