ジュリー・テイモア、東京国際映画祭の審査委員長に 黒澤明賞ほか主要企画も発表
10月24日から11月2日にかけて開催される第35回東京国際映画祭で、コンペティション部門の審査委員長を、舞台「ライオンキング」(1997)や映画『タイタス』(1999)などで知られる舞台演出家・映画監督のジュリー・テイモアが務めることが決定した。併せて黒澤明賞、ツァイ・ミンリャン監督デビュー30 周年記念特集、Nippon Cinema Now 部門特集<追悼 青山真治>、国立映画アーカイブ共催「長谷川和彦とディレクターズ・カンパニー」、ジャパニーズ・アニメーション部門特集など主要企画も発表された。
昨年のイザベル・ユペールに続いて、コンペティション部門の審査委員長に決定したジュリー・テイモア。来日にあたって「芸術は私たちを混沌の中から導き出し、道を切り開く道標です。暗い劇場の中、目の前で明滅する映像は、私たちを深く引き込み、孤立した単一の自己存在から引き離します。映画館で作品にひたってください。そこは、私たちがまったく知らないこと、知っていると思っていること、個人的に経験したことの境界をともに越えさせてくれる宮殿です。他人の人生や愛に没入して、鼓舞され、苦悶させられてください。第35回東京国際映画祭のコンペティション部門国際審査委員長として来日できることを、とても光栄に思います」とコメントを寄せている。テイモア、そして後日発表される審査員(全5名予定)が世界から集まった15本のコンペ作品を審査する。
今年は、黒澤明賞が復活。黒澤監督の業績を後世に伝え新たな才能を世に送り出していくために、世界の映画界に貢献した映画人や映画界の未来を託していきたい映画人に贈られるもので、過去にはスティーヴン・スピルバーグ、山田洋次、ホウ・シャオシェンらが受賞。今年は、山田洋次監督、仲代達矢、原田美枝子、川本三郎、市山尚三東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの5名の選考委員により選出される。同賞に合わせ「黒澤明の愛した映画」として、『フィツカラルド』『ミツバチのささやき』などの名作も上映予定。
「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」は、台北駐日経済文化代表処台湾文化センター、東京フィルメックス(10月29日~11月6日予定)との共催企画。東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞を受賞した『青春神話』での監督デビューから30周年を迎える台湾の巨匠ツァイ・ミンリャン。東京国際映画祭では『青春神話』『楽日』や日本未公開の短編などを、 東京フィルメックスでは『西瓜』『ヴィサージュ』などを上映する。
Nippon Cinema Now 部門特集は、昨年新設された部門。この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映。今年は、今年3月に急逝した青山真治監督を追悼し、代表作『EUREKA ユリイカ』と『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を英語字幕付きで上映する。
国立映画アーカイブ共催「長谷川和彦とディレクターズ・カンパニー」は、1982年に長谷川和彦監督の呼びかけによって設立されたディレクターズ・カンパニーの作品を35mmフィルムで上映(会場は国立映画アーカイブ小ホール)。東京国際映画祭では日本映画クラシックス部門で『台風クラブ』『光る女』『DOOR』『地獄の警備員』のデジタルリマスター版を上映する(会場はTOHOシネマズ シャンテ)。
ジャパニーズ・アニメーション部門特集のテーマは、「ゼロから世界を創る」。「アニメーションで世界を創る」と題して、新作アニメ映画『雨を告げる漂流団地』『夏へのトンネル、さよならの出口』『ぼくらのよあけ』の3作品をピックアップ。レトロスペクティブ「アニメと東京」ではアニメが「東京」をいかに描いたかに注目し、4作品を上映する。
「第35回東京国際映画祭」は、10月24日~11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催