実写『耳をすませば』主題歌が「カントリー・ロード」でなかったワケ
柊あおいの青春恋愛漫画を、10年後のオリジナルストーリーを加えて実写映画化した『耳をすませば』(公開中)の主題歌が、「翼をください」になった理由を西麻美プロデューサーが明かした。
本作は、読書が大好きで元気いっぱいな中学生の月島雫と、チェリストになるという夢を持つ天沢聖司の淡い恋模様と、その10年後、お互いの存在が支えとなっている2人の物語を描く。児童書の編集者として出版社で働きながら夢を追い続ける大人になった雫を清野菜名、夢を追い求めイタリアで暮らす聖司を松坂桃李が演じる。
アニメ版『耳をすませば』(1995)では、「カントリー・ロード」が主題歌として使用され、物語を印象的に彩った。SNS上では、今回の実写映画で「カントリー・ロード」を聞くことができるのではないかと予想や期待する声なども多く見受けられた。
西プロデューサーは、「皆さんと同じく『カントリー・ロード』を主題歌にすべきではないか、という考えはもちろんありました。ですが、もともとあれはジブリのオリジナルストーリーがあってこその楽曲です。ストーリーが違う以上『カントリー・ロード』にはできない。そこで、どういう音楽なら雫と聖司が自然に好きになれたかと平川(雄一朗)監督と話し合い、合唱コンクールで歌う曲で、かつ歌詞がぴったりな『翼をください』にしました」と主題歌が決まった経緯を明かす。
また、「翼をください」は、杏がカバー。エンディングでは、雫と聖司に寄り添うような温かい杏の歌声が響く。「コロナ禍になり、杏さんがYouTubeで弾き語りをUPしているのと、CMで名曲のカバーをしているのを拝見して、その表現力に驚きました。もちろん歌手の方にカバーをお願いするという選択肢もあったと思いますが、彼女の伸びやかな歌声でぜひカバーしてほしいと思い、お願いしました」と起用理由を語る。
「松任谷由実さんの編曲も手掛ける武部聡志さんが今回アレンジしてくださったことで、1980年代の雰囲気がしっかり出て、素敵な楽曲になったと思います。杏さんの歌唱も見事でした」と杏の歌声を絶賛する。
さらに、「観てくださった方への隠れたメッセージとして、今回杏さんには本編にも登場していただいています。“彼女が何役だったのか”ぜひ映画館で確かめていただきたいです」と気になるコメントを残している。(編集部・梅山富美子)