ライアン・ジョンソン『スター・ウォーズ』より『ナイブズ・アウト』第3弾の脚本作業が先

　2005年に発表した『BRICK　ブリック』で長編監督デビューし、『LOOPER／ルーパー』『スター・ウォーズ／最後のジェダイ』を経て、ハリウッドの大物監督に仲間入りしたライアン・ジョンソン。ダニエル・クレイグと初タッグを組んだ『ナイブズ・アウト／名探偵と刃の館の秘密』は批評家にも観客にも大ウケし、アカデミー賞脚本賞にも初ノミネートされた。クレイグが演じた探偵ブノワ・ブランを、まったく違う舞台に置いた第2弾が『ナイブズ・アウト：グラス・オニオン』。Netflixでの配信を迎えた本作について、『スター・ウォーズ』の進捗と共にジョンソン監督が単独インタビューで語った。

タイトルの元ネタはビートルズ！『ナイブズ・アウト：グラス・オニオン』予告編

　クレイグの意外なコメディアンぶりが前作以上に冴えわたる本作。IT企業の大富豪が、ギリシャの島に親しい友人たちを集めて開催したミステリーゲームで実際に殺人事件が起きてしまい、ブノワが謎解きに挑む。

　「この映画を作り続ける大きな理由は、ダニエルと一緒に仕事をするのがとても楽しいから。彼は、現在活躍する最高の俳優の一人であり、最もカリスマ性のある映画スターでもある。その2つは本来は別ものだけど、彼は完璧に両方を兼ね備えている」というジョンソン監督は、ダニエルとのコラボをこう振り返る。「僕らはこの映画のコメディー要素が大好きなんだ。観客を驚かせるようなブノワのちょっとした一面を一緒に見つけていくのはとても面白かった。まるで子供が遊んでいるみたいだったよ」

　ジョンソン監督は、前作に続いてオリジナル脚本も担当。エドワード・ノートンやケイト・ハドソン、ジャネール・モネイなど多くの豪華キャストが登場するため、キャラクターそれぞれに輝く瞬間を与えることも大変だったに違いないが、ジョンソン監督は、キャスト全員の仲間意識の高さを称賛する。

　「脚本を書いているときは、どの役にも映画スターをキャストすることを意識しているんだ。だから、彼らに時間を割いてもらうだけの価値があるように、それぞれの登場人物に見せ場を作った。キャストはみんな映画の主演を経験しているけど、全員がアンサンブルとして集まって、お互いをとてもサポートし合っていたし、それが見事にスクリーンに反映されていると思うよ」

　『ナイブズ・アウト』というタイトルは、レディオヘッドの楽曲からきているが、内容に関係があるわけではなかったというジョンソン監督。しかし、ザ・ビートルズの曲からきた続編のタイトル『グラス・オニオン』には理由があった。

　「ビートルズの曲の中でも僕が特に好きな曲なんだ。曲自体が素晴らしいことに加えて、この映画にふさわしいと感じた。なぜならこの曲は、ジョン・レノンが、『歌詞はミステリーである』（歌詞に隠されたメッセージを見つけようとする）、という考えをからかったものだからだよ」。

　また、劇中の印象的な音楽は、彼のいとこのネイサン・ジョンソンが手がけた。「僕らは10歳のころから、一緒に映画を作りながら育った。だから、今も一緒に仕事をしているのは、とても意義深い。彼は美しく豊かな、昔ながらのハリウッドスタイルのスコアを作り上げた。ミステリアスでロマンティックな音楽なんだ。彼の曲をとても誇りに思うよ。この映画をずっと良いものにしてくれた」

　『最後のジェダイ』を発表して以降、新たな『スター・ウォーズ』3部作を監督すると報じられてきたジョンソン監督。その脚本作業について尋ねると「今は、『ナイブズ・アウト』の第3弾の脚本を書くことに集中している」とのことだ。「ただ僕は『スター・ウォーズ』が大好きなんだ。だから、この（スター・ウォーズ作品の）世界で活躍している新しいフィルムメーカーたちを見るのはとても楽しい。彼らが、僕たちの大好きな『スター・ウォーズ』の要素がありながら、驚くような新しい作品を作っているのをとても楽しんでいるよ」と回答。新3部作の制作について「ある時点でそうなればいいね。そう願っているよ」とほほ笑んだ。（吉川優子／Yuko Yoshikawa）

Netflix映画『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』独占配信中