オスカーより大切なもの…インド代表『エンドロールのつづき』監督、ノミネート発表直前の思い
映画『エンドロールのつづき』(公開中)のトークショー付き上映会が21日に都内で行われ、来日中のパン・ナリン監督と映画マニアでもある芸人のこがけんが登壇。本作は、第95回アカデミー賞国際長編映画賞のインド代表に選出されており、ノミネート発表(現地時間24日)を直前に控えたパン監督が思いを明かした。
【動画】監督自身の実話がベースに、映画『エンドロールのつづき』予告編
13年ぶりに来日したパン監督は、「日本が大好きなので感動しております。みなさまにも心からお礼を申し上げたいです」とあいさつ。魔法のランプを手に、「インドの高級ホテルのドアマンみたい」という衣装を着て登場したこがけんは「こんなに素晴らしい映画に関わらせていただいてありがたいのですが、こういう感じの人が出てくる映画じゃないんですよ!」と注意を促し、会場の笑いを誘った。
本作は、チャイ売りの少年が映画と出会い、やがて世界で活躍する映画監督になるというパン監督自身の驚くべき物語の映画化。すでに世界各国で数々の映画賞を受賞しており、オスカーノミネートも期待されているが、パン監督は「映画を作り始めたのは映画が好きで、観客に観てほしいという思いからなので、映画賞を獲れば作品が認められるという達成感はありますが、今日のように自分の作品を観てくださった人で映画館がいっぱいになる方がオスカーよりも重要でうれしいです。一人の映画作家としては、大好きな日本で公開されていることが賞をいただく以上のものです」とコメント。「賞を獲れば多くの人が映画館に足を運んでくださると思いますが、例えそうなっても、常に観客のみなさんに自分の作品を届けたいという思いで映画を作ることからはブレないでいたい」と力を込めた。
イベントでは、こがけんとの映画談議にも花が咲く。ジャンルを問わずに映画を観ているというパン監督は、「日本のことも日本映画を観ることで知りました。伊丹十三監督の『タンポポ』を観たときは、劇中に出てくる食べ物を日本に食べに行きたいと思いました」とラーメンやオムライスに惹かれたことを打ち明ける。
また、こがけんが本作を「飯テロムービー」と表現すると、パン監督は「母の手料理が美味しかったので表現したいと思いました。いろんな国には美味しい食があり、そういう国は素晴らしい文化や映画を生み出していて、映画と食にはなにか関係があるんじゃないかなと思います。だから『飯テロ』という言葉は響きます。そういう意味では、イギリスは攻撃能力が低そうですね」とぶっちゃけて会場を笑いに包んだ。(錦怜那)