「舞いあがれ!」山下美月の演技力が光る!久留美の力強さを表現する繊細な役づくり
連続テレビ小説「舞いあがれ!」の第18週が現在放送中。舞の幼なじみである久留美(山下美月)が医師の八神蓮太郎(中川大輔)との婚約を発表するも、八神の両親の反対で破談になるというショッキングな展開が描かれた。制作統括を務める熊野律時チーフ・プロデューサーが、久留美と父親の関係や、久留美を魅力的に演じる山下の役者としての魅力などを語った。
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連続テレビ小説の第107作となる「舞いあがれ!」は、ものづくりの町・東大阪や五島列島でさまざまな人との絆を深めた舞(福原遥)が、空への夢に向かっていく姿を描く物語。舞がIWAKURAに入社して4年が経ち、営業のエースとして航空機部品の試作に向けて奔走する姿が描かれた。一方、今週は貴司のお祝いの会の席で婚約を発表した久留美は、定職についていない父の佳晴(松尾諭)が原因で破談となってしまう。
この少々ショッキングな展開について、熊野は父の佳晴の性格や境遇をシナリオに入れ込んだ狙いを明かす。「佳晴はいろんな仕事を転々としてなかなか定職に就くことができません。今の時代を舞台に一人の父親像を描く上で、一生懸命生きているけどいろいろなことがうまくいかず、なかなか抜けられない現実もあるということを、きちんと物語の中に入れておきたいという思いがありました」と説明する。
そんな定職に就くことが叶わない父親のことを大切に思い、ないがしろにされるのを良しとしない久留美。「八神が佳晴に対して手を差し伸べることに、久留美は違和感を感じてしまう。その微妙な久留美の心情も描いておきたいと思った。佳晴は不器用だが、娘の久留美のことを大事に思っていて、そのためにできることはなんでもして上げたいとジタバタする。そんな父親の気持ちを、久留美がしっかりと受け止めるところを、山下さんには本当に素敵に演じていただきました」と話す。
劇中、八神の母親が久留美の前で、佳晴を罵る修羅場のような場面も出てくる。熊野は「八神のお母さんが出てきて、しっちゃかめっちゃかになって破談になります。それでも久留美は、大事にしているお父さんをないがしろにする相手に『それは違う』と。すごく大事な存在なんだときっちり伝えるところが、すごく良かった」と振り返る。
「久留美の凛々しさというか、一本筋の通った女性なんだなという力強い部分をしっかりと出していただけました。山下さんが本来持っている資質が久留美の力強さを表現する上で合っていたと思います。きっぱりとした意志の強さをもった久留美のニュアンスをうまく出していただいたと思います」
同時に、きめ細やかな役づくりも光る。山下は、幼なじみを相手にするときとの微妙な接し方の違いなどをうまく使い分けた演技を披露する。「山下さんはすごく真面目で一生懸命やられる方。お芝居もお上手。きちんと登場人物の関係性を踏まえた上で久留美を演じていただいていた。福原さんをはじめ、共演者とも気さくにお喋りをしながらいい関係性を作ってお芝居をしてくださっていた。楽しみつつも、方言のことなど、確認すべきことはきっちり確認して演技をするところもプロフェッショナルな感じがしました」という。
父娘を演じた山下と松尾の現場での微笑ましいエピソードも。「山下さんは、松尾さんがだんだん可愛く見えてきたみたいで、『しょうがないお父さん』みたいな感じで接していました(笑)。松尾さんも気さくな方なので、山下さんとお喋りしながら、時にボケたり突っ込んだりしながら関係性を作っていて。親子関係を演じる上で、本当にいいキャッチボールをしてくださっているなという印象を持ちました」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)