有村架純「近づけば離れる」初めての経験
俳優の有村架純が23日、新宿武蔵野館で行われたNetflix映画『ちひろさん』の初日舞台あいさつに今泉力哉監督と共に出席。これまで数々の映画やドラマに出演している有村だが「ここまで近づけさせてもらえなかった役は初めて」と難役だったことを明かした。
本作は、2013年から2018年にわたって月刊漫画誌「Eleganceイブ」で第一部が連載された安田弘之の同名漫画を、映画『愛がなんだ』『窓辺にて』などの今泉力哉監督が実写映画化。元風俗嬢の主人公・ちひろ(有村)が、とある海辺の小さな町の弁当屋で働きながら、心に傷を抱えている人たちと交流していく姿を描く。共演に豊嶋花、嶋田鉄太、van、リリー・フランキー、風吹ジュンら。
有村演じるちひろは、ちょっと口が悪くてマイペースで自由。町ではちょっと浮いているヘンな“おとな”。でも町の住民はみんなちひろに会いたくなってしまうという不思議な人だ。有村は「ここまで役に近づけさせてもらえないキャラクターは初めてでした」とつぶやくと「これまでは役に自分から寄っていったり、役を自分に引き寄せたりするアプローチ方法だったのですが、ちひろさんは近づけば離れる、(同じ極の)磁石のよう。くっつけない感覚が最後までありました。その意味で特別な存在でした。でも役目を果たしたかったので、懸命に撮影の日々を過ごしたかった」と胸の内を明かす。
さらに有村は「(ちひろを演じる俳優は)もっと他にいたんじゃないかなと思っていました」とも言うと、今泉監督は爆笑し「役と距離があるというのは、役者さんにしか分からない感覚なのかな」と有村の気持ちを慮る。
続けて今泉監督は「でも現場では(有村は)ちひろさんでした。逆に役をしっかりとつかんでしまったら、ちひろさんが説教くさくなってしまったのかも。ちひろさんは常識に囚われず生きている人なのですが、真面目な人なのかなと思った。僕は有村さんが言うほど遠くないと感じていました」と、この役は有村にしかできなかったことを強調していた。
本作はNetflixでの配信と、劇場公開を同時に行うというチャレンジングな作品だ。有村は「原作ファンの多い作品ですが、今泉流の『ちひろさん』を作ってくださいました。キャスト皆さんがとても穏やかで素晴らしいお芝居がたくさん詰まっているので、劇場と配信でたくさんの方々に届くことを楽しみにしています」と語っていた。(磯部正和)
映画『ちひろさん』はNetflixで全世界配信中&全国公開中