「TOKYO MER」ジェシーの何回見てもグッとくるシーン、監督が明かす
2021年7月期にTBS日曜劇場枠で放送された鈴木亮平主演による連続ドラマの2年後を描く『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』(公開中)で、新キャラクターとなる研修医・潮見知広(しおみ・ともひろ)を演じるジェシー(SixTONES)。ユーモアあふれるパブリックイメージとは異なる表情を見せたジェシーの魅力を、ドラマ版から監督を続投する松木彩が語った(※ネタバレあり。映画の詳細に触れています)。
オペ室を搭載した大型車両(ERカー)で事故や災害の現場に駆け付け、“1人も死者を出さない”という使命のもと、自らの危険を顧みず患者のために戦う医療チーム「TOKYO MER」の活躍を描く本シリーズ。劇場版では、横浜ランドマークタワーで発生した爆発事故で地上70階に取り残された193名の命を救うべく、チーフドクター・喜多見幸太(鈴木亮平)率いる「TOKYO MER」が奔走。厚生労働大臣が新設した、鴨居友(杏)率いる精鋭医療チーム「YOKOHAMA MER」と共に救命にあたる。
昨年10月期の主演ドラマ「最初はパー」ではお笑い芸人を目指す、政治家の息子にふんし、相方を演じる市川猿之助と共に数々の漫才を披露したジェシー。本作では、切迫した救命救急の現場で右往左往する研修医に。セカンドドクター・弦巻比奈(中条あやみ)の後輩であり、リスペクトする喜多見を目指すも予想を上回る過酷さを目の当たりにし、葛藤する。ジェシー自身もシリーズ初参加となり、その意味ではシンクロする部分もあったと松木監督。
「ジェシーさんご自身も多分今までやられていないタイプの役ですし、最初は苦労されているのかなとお見受けするところもあったんですけど、本音や弱音もはかず、苦労している感を一切出さずに現場を楽しみながら、潮見というキャラクターを作っていらっしゃって。そのお人柄も含めて、すごく潮見っぽいなって思いました」
~以下、ネタバレ含みます~
潮見は、観客の視点ともなるキャラクターだ。喜多見らMERメンバーが炎上するランドマークタワーに危険を顧みず飛び込むなか、恐怖で身をすくませてしまう。
「目線がどうとか、動きがどうといった細かなテクニックというより、“とにかく今、潮見はこういう気持ちでここにいます”とガツンと訴えてくるようなほとばしる本能で潮見を演じてくださっている感じがすごく魅力的だなと。例えば、潮見がランドマークタワーで炎の中から現れるシーン。かなり火や煙を焚いたところを横断してきてもらいました。あのシーンでは、“ものすごい階数を全速力で駆け上がって、途中で何回か転んでいるだろうし、多分一回ぐらい泣いたと思います”とお話したうえで、“もうグチャグチャになってきてください”とお願いしたら、思った以上にグチャグチャになって登場してくださった。実はその手前の比奈のオペの撮影が長びいてしまったので、ジェシーさんはリハーサルが終わった後ずっと待っていたんですよ。長時間待って、では今からグチャグチャになって登場するシーンお願いしますと言った時はもう23時半ぐらいだったと思うんですけど、ものすごい集中力で、撮影現場的にも助けられましたし、すごくいい表情をいただけて嬉しかったです」
一番好きな潮見のセリフが、終盤の「はい」の一言だと松木監督。「オペが始まって、比奈に“吸引をお願いします”って指示されたときに潮見が“はい”って言うんです。冒頭のオペでは返事すらできず、見ているだけだったのに、ちゃんと相手の目を見て力強く“はい”と答える。それを最初のリハーサルで、私がお願いする前からすごく自然にやられていて。たった一言で成長した潮見を表現してくださって、この先の潮見の物語を見たいと思わされましたし、すごい役者さんだなと思いました。何回見てもグッとくるシーンです」
今年8月には、行定勲監督が長浦京のハードボイルドアクション小説を実写映画化する『リボルバー・リリー』、ティム・バートン監督のホラー・コメディ映画に基づく主演舞台 「ビートルジュース」を控えており、2023年はジェシーにとって一層の飛躍の年となりそうだ。(編集部・石井百合子)