新田真剣佑『聖闘士星矢』アクション監督が見た国際派スターの素質「全てを持っている」
新田真剣佑のハリウッド初主演作『聖闘士星矢 The Beginning』(全国公開中)でスタント・コーディネーターを務めたアンディ・チャンが、日本を代表する人気コミックの実写化に傾けた情熱と共に、国際派アクションスターとしての新田のポテンシャルの高さを絶賛した。
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『聖闘士星矢』は、アニメ化もされた車田正美の人気漫画を原作に、地上の平和を守る女神アテナのために戦う闘士・聖闘士(セイント)の激闘を描くアクション巨編。新田はペガサスの聖闘士・星矢役で主演を務め、徹底した肉体改造を経てほとんどのアクションを自らこなした。
アンディはジャッキー・チェンのスタントチーム出身で、マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でスタント&ファイト・コーディネーターを務めるなど、ハリウッドの一線で活躍するアクション監督。シリーズのファンで「聖闘士星矢」のアニメを観て育ったという彼にとっても、本作は念願の企画だった。
「この作品における私のゴールは、スーパーヒーロー映画で目の肥えた観客にも伝わる現代的なアクションを作り出すこと、そして、各キャラクターに聖闘士を象徴するアクションをさせることでした。『聖闘士星矢』では各キャラに星座を象徴する動きがありますよね。ウェブを発射するスパイダーマンのように、観客が映画館を出てすぐにペガサスの動きを真似できるようなアクションを生み出したいと考えていました」
また、『聖闘士星矢』を象徴する重要な要素のひとつが、聖闘士が着用する聖衣(クロス)。本作では、ほとんどのシーンで俳優が実際に聖衣を着用してアクションを演じており、アンディは「とても美しい仕上がりでしたが、尖った部分も多く、動きによっては相手だけでなく自分のことも傷つけてしまう。ケガをしないようにエキサイティングなバトルを考えるのは挑戦でしたね」と苦労を明かす。
「幾つかの場面ではCGが必要でしたが、観客の皆さんは愚かではない。CGに頼りすぎると、リアルじゃないとそっぽを向かれてしまいます。そのために限界ギリギリまで、生身の俳優やスタントに戦ってもらうことが必要でした。そういう意味でも、主役が新田さんじゃなければトラブル続きだったかもしれません。千葉真一さんを父に持ち、格闘技の経験が豊富で、ワイヤーをはじめどんなアクションにも精通していて説得力がある。彼を主演に迎えたことで、救われた部分は非常に多かった。努力家で本当に聖闘士のようでしたね」
これまで、そのキャリアを通じて数多くのアクションスターと組んできたアンディは「ジャッキーやザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)など、さまざまなアクションスターを見てきましたが、彼らに共通しているのは、技術の前にハートがあるということです」とスターの素質について語る。「彼らはアクションを愛していて、危険を顧みず、ギリギリのラインに立てる情熱がある。痛み、傷つくかもしれない状況に身を置くことができる。もちろん撮影は入念に準備をして安全第一で行いますが、そういう心意気が必要ということです。安全を心配するあまり役に入り込めない俳優もいますが、それではスターにはなれない」
「新田さんはそうした要素を全て備えています。完璧な英語が話せて、魅力的で、技術も申し分なく、何よりそうした心意気がある。今歩んでいる道を進んでいけば、間違いなく次世代の国際派アクションスターが誕生すると思っています。ハリウッド初主演映画で彼と一緒に働けたことは私にとっても本当に幸運でした」
ちなみに映画監督でもあるアンディには、「聖闘士星矢」のように実写化したい日本のアニメがあるという。それは、世界中に熱狂的なファンのいる、川尻善昭監督のアクション時代劇『獣兵衛忍風帖』(1993)。「本当に大好きな作品で、いつか自分が監督して実写化したいんです。新田さんとも、権利がクリアになって映画化できることになったら一緒にやりたいねと話していました」というアンディ。いつか、世界的アクションスターと監督のタッグ作を目にする日が来るかもしれない。(編集部・入倉功一)