三谷幸喜、一度辞退した向田邦子賞を「鎌倉殿の13人」で受賞!「こんなに幸せなことはない」
第41回(2022年度)向田邦子賞贈賞式が23日、帝国ホテルにて開催され、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の脚本で同賞を受賞した三谷幸喜が出席し喜びを語った。
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向田邦子賞は、脚本家・向田邦子のテレビドラマにおける功績を称え、現在のテレビ界を支える優秀な脚本作家に贈られる賞として、1982年に制定。東京ニュース通信社が主催し、選考委員は池端俊策、大石静、岡田惠和、井上由美子、坂元裕二ら歴代受賞者による向田邦子賞委員会が担当した。
今回受賞した「鎌倉殿の13人」は、鎌倉時代を舞台に、野心と無縁だった伊豆の若武者・北条義時(小栗旬)が鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした二代執権に上り詰めていくさまを追う物語。
受賞理由は、「歴史上に名はあるが顔が見えづらい武将たちに、個性ある表情と現代に通じる軽快な言葉を与え、北条義時をはじめ、その一族の人間臭い複雑な心理を見事に描き、150年に及ぶ時代の礎を築くプロセスを喝破した」と評された。
選考委員の池端俊策は「向田邦子賞は、オリジナル脚本が選考対象。それは脚本家の顔が一番よく分かるから。我々は顔の見える脚本家を選びたい」と述べると「三谷さんの顔を知らない人はいない。いまごろ受賞されるのかと思うかもしれませんが、今年はいい脚本家を選ぶことができて、向田邦子賞としても嬉しい次第です」と語る。
三谷は「向田邦子さんは僕の憧れであり目標です」と言い、「毎回脚本を書くときは、向田さんの脚本を読み返し、どうやって近づけるかを考えて書いています」と尊敬をにじませる。
三谷は以前、向田邦子賞受賞の話を受けたことがあったが辞退したという。その理由について「僕にとって向田さんは憧れで、しかも第1回の受賞者の市川森一さんも僕は大好きで尊敬している方。その時点の僕の実力で向田賞をいただくということは、向田さんと市川さんと名前が並ぶ。それが許せなかった。僕のような若輩者がもらってはいけないと思って辞退したんです」と明かしていた。
また三谷は「種明かしをしてしまいますが」と前置きすると「(『鎌倉殿の13人』の)御家人たちのセリフは(向田が脚本を担当した)『寺内貫太郎一家』の石職人を、(小池栄子演じる)北条政子と(宮澤エマ演じる)実衣の会話は『阿修羅のごとく』を参考にしているんです」と、作品に大きな影響を受けたとも。
この日は「鎌倉殿の13人」に出演した小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、坂口健太郎、瀬戸康史、梶原善、菊地凛子、山本耕史、中川大志、佐藤B作、草笛光子、生田斗真、佐藤浩市、大泉洋、浅野和之、堀内敬子、相島一之、宮澤エマ、堀田真由、南沙良、野添義弘、新納慎也、栗原英雄、柿澤勇人、福地桃子、山本千尋、きづき、西本たける、作曲家のエバン・コールがお祝いに駆けつけた。
三谷は「僕みたいな人間にこんなにたくさんの方が集まっていただいて。テレビで観た方ばかりで僕は嬉しいです」と笑顔を見せ、「素敵な企画を振っていただいたプロデューサーの清水(拓哉)さんをはじめ、時代考証をしてくださった先生方、演出の吉田(照幸)さんを筆頭にスタッフの方、出てくださった俳優さんたちのおかげで、脚本の何倍も素敵な作品にしてくださいました。脚本家としてはこんなに幸せなことはありません」と感謝を述べていた。(磯部正和)