内野聖陽が春画研究家役で主演!北香那との師弟コンビ描くコメディー、10月13日公開
俳優の内野聖陽が、春画をテーマにした映画『春画先生』(10月13日公開※R15+作品)の主演を務めることが25日、明らかになった。本作は、内野演じる変わり者の春画研究家と、彼にひと目ぼれしたしっかり者の弟子の交流を描くコメディーで、ヒロインとなる弟子を北香那が演じる。監督は、『月光の囁き』『さよならくちびる』などの塩田明彦。無修正で浮世絵春画がスクリーンに映し出される。
人間の性的な交わりを描いた春画は肉筆や木版画で描かれ、平安時代から始まり江戸時代の木版画技術の発達で全盛期を迎えた。鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など多くの著名な浮世絵師が春画を手がけた。
今年は三谷幸喜の舞台「笑の大学」が話題を呼び、大ヒットドラマ「きのう何食べた?」シーズン2の放送も発表された内野。演じるのは、妻に先立たれ世捨て人のように春画の研究に没頭する芳賀一郎。高名な研究者でありながらも社会性があるとはいいがたく、好きなことに没頭するこじらせ中年男性。弓子という春画を語り合う弟子ができたことで、春画大全の執筆への意欲を取り戻していく。
弟子の弓子を演じるのは、ドラマ「バイプレイヤーズ」や大河ドラマ「どうする家康」も話題の北。将来の夢もないまま無為な日々を過ごしていた弓子が、ウエイトレスとして働く老舗喫茶店で常連客の“春画先生”こと芳賀と出会い、春画に興味を抱くと同時に芳賀に一目ぼれ。芳賀宅を訪ね春画講座を受け始めるが、芳賀が執筆する春画大全の編集者・辻村や芳賀の亡き妻の姉・一葉が現れ、波乱を予感する。
主演の内野は脚本の印象について「初めて脚本を読んだとき、性愛についての奥深さを感じさせるちょっと笑える、微笑ましい『おとぎ話』のような感覚を持ちました。春画先生という役は、普通の人にはない距離感の人で、大きな喪失感をもってますけど、とても愛すべき研究者だと思いました」とコメント。北との共演を「お相手の北香那さんは、とても真っすぐな気持ちのよい方です。場のシチュエーションに対して、とても勘のいい方だなあといつも感心しておりました。塩田さんのシナリオと演出は、少し現代には無い懐かしい匂いのするものでしたが、北さんの演技はど直球で、胸を打つところがありました。とても素敵な女優さんです」と振り返っている。
また塩田監督は春画をテーマにした理由を「江戸時代、“笑い絵”とも呼ばれた春画の世界は、男性同士はもちろんのこと、致す前の男女、さらには女性同士までが顔つき合わせ、笑い、楽しむものでした。そうした日本の春画の知られざる美しさや艶やかさ、どこまでも陽気な人間賛歌とでもいうべき春画の魅力を少しでも多くの人々に知って頂きたい。その一心で、わたしたちはこの映画を作り上げました」と説明している。
北、塩田監督のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)
北香那(春野弓子役)
脚本を読んで、まず最初に“弓子の役を何としても私が演じたい”と強く思いました。登場人物は皆、それぞれの幸せを掴むために真っ直ぐと向かっていくけれど、その姿がどこか異様で微笑ましく、じわじわと滲み出てくるような魅力と面白さがあります。その中で、私が演じる弓子は私自身、完全に心を持っていかれるほど生命力や好奇心に満ちたピュアなキャラクターです。撮影前から本作で内野さんと共演させていただけることをとても楽しみにしていました。内野さんの役作りの丁寧さを目の当たりにして、衝撃が走ったのと同時に、弓子として内野さん演じる先生を見た時に、その奥深さにどこまでも夢中になってしまうような吸引力と魅力に圧倒されました。私も負けじと内野さんに追いついて行こうと必死でしたが、それが幸せで、刺激的で、充実した日々だったと噛み締めています。そんなたくさんの想いが詰まった、私の大好きな作品です。多くの方に届きますように。ご覧になった皆様の反応がとても楽しみです。
塩田明彦監督
江戸時代、“笑い絵”とも呼ばれた春画の世界は、男性同士はもちろんのこと、致す前の男女、さらには女性同士までが顔つき合わせ、笑い、楽しむものでした。そうした日本の春画の知られざる美しさや艶やかさ、どこまでも陽気な人間賛歌とでもいうべき春画の魅力を少しでも多くの人々に知って頂きたい。その一心で、わたしたちはこの映画を作り上げました。笑って笑って、ちょっとエロくて、でもやっぱり笑ってしまう、そんな楽しい映画に仕上がったと自負しております。なんといっても絶品なのは内野聖陽演じる春画先生。心に詰まった春画への思い、さらには愛する女性たちへの想いがいまにもはち切れそうで、気がつくと全身から不思議な震えと波動を発しているような人物を、えもいわれぬユーモアと、完璧といってもいい役作りで体現してくれました。返す刀の北香那も、本当に胸を打つほど活き活きとして美しい。決して大きくはない体を思いっきり自由に動かして、その一挙手一投足こそが愛にほかならないような見事な演技を披露しています。そうして完成した映画『春画先生』が、世界中の“人間”を愛する老若男女、戦争や差別を超えて“生きること”を愛する皆様に届き、愛されることをいまはただ願ってやみません。