松本幸四郎と市川染五郎、親子で鬼平の現在と過去演じる「鬼平犯科帳」レギュラー出演者発表
松本幸四郎主演の「鬼平犯科帳」SEASON1のレギュラー出演者が発表された。松本幸四郎の長男である市川染五郎が、若き日の鬼平、“本所の銕(ほんじょのてつ)”こと長谷川銕三郎を演じる。
【画像】「鬼平犯科帳」ティザービジュアル&出演者発表会見の様子も
7日、京都・松竹撮影所にて撮影が行われている「鬼平犯科帳」のレギュラー出演者発表会見が開催された。会見には、松本幸四郎演じる火付盗賊改方長官、長谷川平蔵(通称:鬼平)を含めたレギュラーキャスト総勢10名が登壇。長谷川平蔵の妻・久栄役に仙道敦子、密偵・おまさ役に中村ゆり、密偵・相模の彦十役に火野正平、筆頭与力・佐嶋忠介役に本宮泰風、同心・木村忠吾役に浅利陽介、同心・酒井祐助役に山田純大、同心・沢田小平次役に久保田悠来、同心・小野十蔵役に柄本時生が名を連ねる。
幸四郎と染五郎は、同一人物(鬼平)の過去と現在を親子で演じることとなった。これまでの映像作品ではほとんど描かれることのなかった、鬼平誕生の秘密が本作にて明らかになる。
この日登壇した幸四郎は、「時代劇の傑作である『鬼平犯科帳』を最強のメンバーでつくっている」と胸を張り、質疑応答では「先達が演じた鬼平との違いや本作への意気込みは?」という問いに、「今までの鬼平のイメージに真正面からぶつかっていく気持ちで取り組んでいます。“だから鬼の平蔵と呼ばれるようになったのか”という強さを表現するのが自分のテーマ」と答えた。
また、幸四郎は男性キャストが中心の「鬼平犯科帳」の中で「久栄とおまさの存在は大きく、ほっとできる」と語り、仙道は「幸四郎さんは気遣いの人で緊張をほぐしてくれる」、中村は「日本舞踊を習い、和装での所作を学んで撮影にのぞんだ」と明かした。
続いて、染五郎に対しての「若い世代にも時代劇を見てもらいたいか?」という質問に「よく父(幸四郎)も言っていますが、時代劇はある種のファンタジーとしても楽しめるもの。固く考えずに観ていただきたい」と答えた。
最後に幸四郎は「『鬼平犯科帳』は人がどう生きるかを描いた作品、絆や思いやり、情、恋、愛の人間ドラマ。日本は豊かでおもしろいと感じられるのが時代劇の魅力、鬼平犯科帳でさらに時代劇が盛り上がり、一人でも多くの方に観ていただけたら」とアピールしていた。
会見内では、本作でエグゼクティブ・プロデューサーを務める宮川朋之(日本映画放送)が、SEASON1として、4作品(2024年1月に放送・配信の2時間スペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」、同年5月公開予定の劇場版『鬼平犯科帳 血闘』、同年5月以降に放送・配信予定の連続シリーズ「鬼平犯科帳 でくの十蔵」「鬼平犯科帳 血頭の丹兵衛」)を製作すると発表した。また、来年5月にはSEASON2の製作も予定されている。(編集部・梅山富美子)
キャストコメント
■松本幸四郎
私は叔父の鬼平を、ただただかっこいいと観ていた一人です。このお話をいただいたとき、迷うことなく素直に受け入れ、「受けさせていただきます」と言えました。そんな思いを胸に、撮影にのぞんでいます。豪華なレギュラー陣ですので、こんな幸せなことはな いという刺激のある毎日。その日、自分ができることを全部やる、それを大切に、多くの方に観ていただけるよう取り組んでいます。
■市川染五郎
人情深さがありながらもやんちゃな平蔵の青春時代を演じさせていただきます。経験の無い役柄なので難しさはありますが、挑戦 させていただけることが嬉しいです。父(幸四郎)が長谷川平蔵の格好で現場にいると、役としては自分と同一人物なので、未来の姿が目の前に居るかのような不思議な感覚でタイムスリップしたような気分になります。
■仙道敦子
初めてお話をいただいたときに、「あの“鬼平犯科帳”ですか?」と聞き返した記憶があります。(最初の映像化から)半世紀以上の歴史ある作品に、新たに参加させていただくことを心から光栄に思います。松本幸四郎さんふんする鬼平さん(長谷川平蔵)を側で支える久栄さんを自分なりに演じていけたらと……撮影は身が引き締まる思いです。
■中村ゆり
「生まれ落ちたところは選べない」、そんな銕三郎(のちの平蔵)の言葉に強く共感しながら、今の世の中に比べて階級の違いが如実だった時代の中で、私が演じるおまさという、生まれながらに裏の道でしか生きられない女性にとって、対等に、それ以上に、心を打つ学びをくれた存在に幼少期に出会ったことは、おまさの人生にどれだけの尊厳を持たせてくれたことだろうと思います。名だたる俳優さん達が演じて来られた役なので、もちろんプレッシャーはありますが、私なりの解釈と、京都のベテランスタッフの皆さんに助けていただきながら、幅広い世代の方々に鬼平犯科帳の美学が届けられたら嬉しいです。
■火野正平
“火野正平”という芸名は池波正太郎先生につけていただきました。今回、このお話をいただいたのもご縁だと感じています。(出演に関しては)だいぶ前に山下監督からお話を伺っていました。監督や撮影所のスタッフの皆さんも勝手を知っている仲なので、安心して撮影に臨みました。幸四郎さんがにこやかでお茶目で驚いた! この人のために頑張るよ。この作品に長く携われるよう、精進します!
■本宮泰風
元々、鬼平犯科帳のファンでしたので、幸四郎さんが火付盗賊改の姿で現場に来られたときには体が震えました。グッとくるものがありましたね。役者の気持ちを忘れ、一ファンとして見てしまいました。同心の立ち位置や動きで、それぞれの身分の差も細かく表現しているので、その辺りも注目していただけたらと思います。
■浅利陽介
時代劇は久しぶりですが、諸先輩方、スタッフの方々に学びながら日々の撮影を楽しんでいます。武士としての立ち居振舞いは幸四郎さんの動きを見て盗んでいます。隣で無駄のない動き方をされるので参考にさせていただいています。
■山田純大
歴史ある「鬼平犯科帳」、その中でも同心役で出演させていただくことをとても嬉しく思います。撮影が始まり、同心の仲間たちとは、自分たちは「江戸時代の特殊部隊」のような存在だなと話しています。事件を善と悪に分けて捜査しなくてはなりませんが、その中で見えてくる時代劇ならではの「やるせなさ」そして「余白」を感じていただければと思います。
■久保田悠来
誰もが耳にしたことのある歴史と伝統のある作品に、そして新たな「鬼平犯科帳」を創りあげるプロジェクトにご縁あって沢田という剣豪として参加でき光栄です。現場は松本幸四郎さん演じる長官を筆頭に、和やかながらも誰もが良いものにしようという刺激に溢れております。芝居に殺陣にと沢田のように座長を何年も支えていければと思います。
■柄本時生
歴史と伝統のある作品に参加できることが本当にありがたいと思っております。オファーをいただいた際に、まさか自分に白羽の矢が立つなんて想像していなかったので笑ってしまいました。先輩方がつくられてきた作品を丁寧に一生懸命演じたいなと思います。
■山下智彦(監督)
新たな「鬼平犯科帳」の製作が発表されてから2年。以来、幸四郎さんが殺陣稽古、乗馬稽古とご準備されてきたのを近くで見てきて、ようやく新たなキャストと共に撮影を迎えられたこと、とても感慨深く感じています。作品のテーマのひとつに「江戸の情熱」というキーワードがあるのですが、クランクイン後、撮影を経て、キャスト・スタッフの作品への情熱が高まっているのを日々実感しております。