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「どうする家康」岡田信長のゾクゾクする魅力 演出統括・加藤拓が振り返る

23日放送・第28回「本能寺の変」より岡田准一演じる織田信長
23日放送・第28回「本能寺の変」より岡田准一演じる織田信長 - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜、NHK総合夜8時~ほか)の演出統括を務める加藤拓が、岡田准一が演じた「ゾクゾクする」織田信長の魅力を振り返った。

【画像】血まみれの信長…本能寺の変場面写真

 「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの人気脚本家・古沢良太が、戦国乱世に終止符を打ち江戸幕府初代征夷大将軍となった徳川家康の生涯を等身大に描いた本作。岡田が演じた信長は理想主義者として描かれ、家康にとっては師匠であると同時に友でもあり、そんな二人の複雑な愛憎模様も大きな魅力の一つだった。

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 岡田が演じた信長について、加藤監督はこう語る。「言わずもがな素晴らしい俳優さんで、いつも圧巻だなと拝見していたんですけど、『どうする家康』においては信長の人間性をどう見せるのか、かなり難しかったと思うんです。誰もが何かしらのイメージを持っている歴史上のヒーロー、ダークヒーローにどう臨んでいくのか。なおかつ、今回はそこまでプライベートスペースがシーンとして起こされているわけでもなかったので」

 岡田の演技でとりわけ目を奪われたのが、信長の義弟・浅井長政(大貫勇輔)の裏切りを巡って信長と家康が言い争いを繰り広げた第14回「金ヶ崎でどうする!」(演出:川上剛)。“義の男”である浅井に好意を抱きながらも彼の謀反を知った家康は、信長にそれを進言。しかし、義弟が裏切るとは夢にも思わなかった信長は激高する。

 「『お主を信じられん者もおる!』という家康に、信長がショックを受け『おまえもオレを信じぬのか!』と言い争いになるシーンがありましたけど、信長がこんなに必死になるなんて、感情を爆発させるなんて、とビックリして……。素晴らしかったですよね。あの辺りから信長が家康を試す方向に向かい、第15回『姉川でどうする!』(演出:田中諭)で『乱世を終わらせるのは誰じゃ……?』と至近距離で家康に迫って耳を噛んで挑発する。信長の暴走がどんどんエスカレートしていくんですけど、きっと岡田さんは天下布武を目指す信長の天下に対する広い視野やカリスマ性を、家康に対する愛憎に集約させていったんだと思うんですよね」

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 今川義元の首をぶら下げた信長が不敵な笑みを浮かべ「待ってろよ、竹千代……俺の白ウサギ……」とつぶやく初回のラストから、本作では家康が弱弱しいウサギ、信長がそれを狙うオオカミとして描かれてきた。加藤監督は、「そぎ落としそぎ落とし、1点に凝縮していく」のが岡田の芝居の凄さだと指摘する。

 「台本からキャラクターを作っていくにあたってどこに軸足を置くのかというときに、岡田さんは非常に明確に置かれたんだろうなと。こういうのは別に演出がどうこう言うことではなく、岡田さんが表現者として自分が何をやるかということを突き詰めていったんだと思うんですけど、岡田さんの凄さって多分そういうところだと思うんですよね。本当に無駄なことやらないというか、そぎ落としそぎ落とし、1点に凝縮していく。それはお芝居の全てに表れていて、初回の登場シーンから岡田さんの信長はどこをどう切り取っても動きが美しい」

 前週放送の第27回「安土城の決闘」では再び信長と家康の至近距離での対峙シーンが描かれた。松本と岡田の共演シーンにおいて集大成とも言える12分にわたる緊迫の名シーンとなったが、本回の演出を務めた加藤監督は「素晴らしい経験だった」と撮影を振り返る。

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 「信長が家康にぐっと顔を近づけて『腹の内を見せなくなったな』と頬に触れ、叩くのか叩かないのか……というときの右手の形、あるいは刀を振り下ろすところ、どこを切り取っても美しいんですよね。岡田准一さんという、今日本でトップの俳優さん、時代劇をやらせたらこの人しかいないっていう方が信長をやると、かくも美しく、そして情熱的になるのかと。それを間近で見られて素晴らしい経験になりました」

 演出統括の立場として特に心惹かれたシーンを尋ねると「どこも好きです。かっこいいですからね……」と前置きしながら、思いを巡らせる加藤監督。「先に触れた27回で家康と対峙するシーンは大好きです。でも、いろんなことが大きく動き始めたのは第14回。それに、第22回『設楽原の戦い』で長篠の戦いのあと、家康への警戒を強くする信長が、娘の五徳(久保史緒里)を引き寄せて口をふさいで徳川を見張るよう脅しをかけるところもゾクゾクしました」と、挙げ始めたらきりがないという調子で語った。

 本日(23日放送)の第28回(演出:村橋直樹)では、ついにXデー=本能寺の変が描かれる。(編集部・石井百合子)

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