趣里&森山未來共演『ほかげ』予告編公開 塚本晋也が描く戦後、生き延びた人々が抱える痛みと闇
俳優の趣里と森山未來の共演で、 終戦直後の日本を舞台に、戦争を生き延びた人々が抱える痛みと闇を描く塚本晋也監督作『ほかげ』の予告編とポスタービジュアルが公開された。
映画『鉄男 TETSUO』(1989)での鮮烈な劇場デビュー以後、世界中で熱狂的ファンを獲得し、多くのクリエイターに影響を与えてきた塚本監督。本作は、戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』(2014)、太平の世が揺らぎ始めた幕末を舞台に生と暴力の本質に迫った『斬、』(2018)の流れを汲む新作となり、民衆の目線で戦争を描き、戦争に近づく現代の世相に問う。
2023年後期放送の連続テレビ小説「ブギウギ」で、戦後の大スター・笠置シヅ子さんをモデルにしたヒロインを務める趣里。『ほかげ』では、終戦直後の闇市で、半焼けの小さな居酒屋で暮らす、戦争に翻弄された女性を演じる。体を売ることを斡旋され、戦争の絶望から抗うこともできずにその日を過ごす、趣里演じる“居酒屋の女”。彼女はある日、店に盗みに入った戦争孤児(塚尾桜雅)と出会い、彼との関係にほのかな光を見出す。
予告編は、次第に心を寄せていく居酒屋の女と子供の生活に、戦争のもたらした痛みが影を落とす様を映し出す。森山が演じる、片腕の動かない謎の男が言い放つ「どっちにしたって、人生お先真っ暗だ」というセリフも印象的だ。
本作について、塚本監督は「火と、その揺れに合わせて姿を変える影。その影の中に生きる人々を見つめ、耳をすませます。終戦企画と銘打って準備撮影を進めた『ほかげ』。世界の動きが怪しくなってきた今、 どうしても作らずにはおれなかった、祈りの映画になります」とコメントを寄せている。(編集部・入倉功一)
映画『ほかげ』は11月25日よりユーロスペースほか全国順次公開